11月10日、TPP(環太平洋連携協定)承認案および関連法案が、衆議院本会議で強行採決されました。消費者と生産者の立場から声を寄せていただきました。TPPは参議院で徹底審議のうえ、廃案を求めます。
本末転倒許せない
京都市上京区 榎本 晶彦(68)
安倍政権は、何が何でもTPP批准を強行する気です。アメリカで選挙中から「TPP撤退」を表明していたトランプ氏が大統領当選を決めた翌日に、衆院本会議で強行採決しました。
米国批准せず
アメリカが撤退すればTPPは発効しません。わずかでも可能性があるとすれば、トランプ氏が求める「再交渉」しかないのですが、安倍首相は「再交渉はしないと国会の意思を示すためにも批准が必要だ」と言います。しかし、アメリカからの再交渉を拒否すれば、TPPは発効しないという矛盾にぶつかります。
食の安全が心配
TPPは協定内容が膨大なうえ、交渉経過は黒塗りされている部分が多く「ノリ弁」状態と言われ、よく分からないとのこと。
一番心配なのは「食の安全」の問題です。遺伝子組み換え作物・食品や農薬・成長ホルモン剤、食品添加物などです。
TPPが発効すれば各国が独自に制限や表示を課すには、科学的根拠が求められ、証明できなければ自由化・規制緩和がすすむと言われます。本末転倒です。国民(人類)の生命や健康が大切。「安全」が証明されない限り流通させてはならないとしてこそ、「安心」が得られると思います。
疑問に答えず批准はダメ
このように国民の疑問はたくさん出されているのに、政府は「懸念には及ばない」を繰り返すだけ。まともに答弁できていません。こんな協定を批准するなど認められません。
後継者の育成できず
青森県十和田市 仁和 竹男(60)
長芋は全国的にも有数の出荷量を誇る地域で、ネギ、長芋などを中心に農業経営をしています。私と妻に加え、必要なときに人を募集して営んでいます。
TPPで直撃を受ける米、麦やリンゴなど影響の大きい重要品目に比べれば、まだ野菜は影響を受けないだろうと言われています。しかし、そんなことはないと思います。
ネギの3%関税などもすぐに撤廃されて、さらに野菜流通にもTPPは影響し出すでしょう。野菜まで丸ごとTPPに喰われると不安が広がっています。
特に心配しているのは、海外からの労働力輸入で、今でもなり手のない若い農業従事者が激減するかも知れません。目先の安さに目を奪われ、知らないうちに国内農業が破壊されていく心配があります。(斗沢テルオ通信員記)
(2016年11月27日号「守る新聞」) |