全国各地から延べ285人が集まり、政府に国民が置かれた厳しい実態を突き付け、速やかな改善を迫りました―。全国生活と健康を守る会連合会は11月16、17日、東京で2017年度予算要求中央行動に取り組みました。第41回全国大会方針実践の場です。社会保障改悪と人権侵害に歯止めをかけるべく、国民生活無視の安倍政権に満身の怒りをぶつけ、改めて全生連運動の確信を深めた2日間でした。(番匠 寛記者)
一歩も引かない
政治を変えよう
16日は学習決起集会。TKPガーデンシティ永田町に146人が集まりました。
冒頭、安形義弘会長が「TPP参加や自衛隊の南スーダン派遣など国民をだまし、生活保護の各種扶助・加算の削減など、社会保障のさらなる改悪の準備を進め、人権侵害を続ける安倍政治を許すことはできない」と力強くあいさつ。「闘いは広がっている。われわれの行動力で一歩も引かずに頑張れば、政治は変えられる。そのためにはより多くの仲間の力が必要だ」と訴えました。
続いて、新潟県生活と健康を守る会連合会の渡辺和子会長から、全生連と新潟県連が推薦した米山隆一さんが当選した、新潟県知事選挙支援へのお礼の言葉がありました。
その後、記念講演や翌日の交渉に備えた班別打ち合わせなどがあり、初日のスケジュールを終えました。
昨年の参議院選挙で野党統一で当選した伊波洋一(沖縄)、森裕子(新潟)の両氏からは、メッセージが寄せられました。
施策改善は急務
省庁に切実な声
17日の省庁交渉は、参議院議員面会所で行われた全体打ち合わせから始まりました。
打ち合わせには倉林明子参議院議員(日本共産党)が駆け付け、次のような激励のあいさつがありました。
「社会保障の大改悪を考え、提案するような政府はこれまでなかった。数の力におごり、流れが見えていない安倍政権に対し、野党はスクラムを組んで、闘いを進めている。憲法9条と25条破壊は許せない。広範な力を結集し、対抗しよう」
打ち合わせ後、参加者は5班に分かれ、省庁交渉に臨みました。今回は厚生労働省審議官への要請が実現しました。
交渉では切実な実態を抱える当事者らが次々と発言。厳しい実態を示し、改善を迫りました。
高官要請が実現
厚労省 岡崎審議官 問題あれば“考慮”
省庁交渉では厚生労働省の岡崎淳一審議官との懇談の場を持ちました(写真)。安形会長ら9人が社会保障制度を巡って人権侵害の実態などを示し、制度改善と国民本位の施策を求めました。審議官は生活保護の資産調査で「やり方で問題がある部分は考慮しなくてはならない」との考えを示しました。懇談には高橋千鶴子衆議院議員(日本共産党)も同席しました。
参加者は北海道、福岡、大阪、神奈川、新潟、青森から。それぞれが抱える深刻な実態を訴える中で、生活保護の資産申告では冷蔵庫の中までチェックする、プライバシーを全く考慮しない人権侵害の実態を告発しました。また、年金では最低保障年金の実現を求めました。
要望を聞いた審議官は「担当部局にはしっかりと伝える」と述べました。
二宮さんが記念講演
9条と25条は双子
学習決起集会の記念講演では、経済学者の二宮厚美さん(神戸大学名誉教授)が「憲法と社会保障」をテーマに、生存権を保障した25条と戦争放棄の9条は双子のきょうだい関係にあると強調。安倍政権が進める社会保障解体政策と軍事大国化路線を鋭く批判しました。
二宮さんは憲法に9条と25条のような条文がなく、経済的徴兵制が広がっているアメリカの例を挙げ、警鐘を鳴らしました。「25条が欠落すると軍事大国化する」と述べ、「社会保障充実を求める運動は平和を守ることでもある」と強調。「今こそ25条の出番だ」と講演を締めくくりました。
(2016年12月4日号「守る新聞」) |