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就学援助 入学準備金 入学前に支給 “本当に助かります” 三重県伊勢市で3月支給へ

 こどもの貧困が社会問題化するなか、学校教育法に基づく就学援助制度の入学時に支給される入学準備金(新入学児童生徒学用品費)を、5、6月支給から入学前に支給する自治体が増えています。三重県伊勢市の黒木騎代春(きよはる)さんから届いた通信を紹介します。「守る新聞」独自調査は次号に詳報します。

子どもの貧困対策

団体で、市議会で要求

就学援助 入学準備金の目安
(新入学児童生徒学用品費)
小学1年生 2万470円
(来年度予算案 4万6000円)
中学1年生 2万7400円
(来年度予算案 4万7400円)

 三重県伊勢市では、小中学校への入学時に支給される入学準備金を今年から入学前の3月に前倒しして支給することになりました。
 伊勢生活と健康を守る会など社会保障関係団体の申し入れ運動と、黒木騎代春市議(日本共産党)が昨年9月の市議会一般質問で、こどもの貧困対策をテーマとして取り上げた中で対応を求めていたものです。
地図 経済的に苦しい家庭を対象にした就学援助制度のうち、小中学校入学時にランドセルや制服などを購入するための「入学準備金」が設定されています。また「子供の貧困対策に関する大綱」(平成26年8月29日閣議決定)には就学援助の適切な運用についての記述があり、文部科学省初等中等教育局長が「児童生徒が援助を必要とする時期に速やかに支給できるよう十分配慮をするよう通知している」との国会答弁も、質問の中で紹介しました。「この際、支給方法の改善として、入学前の3月に支給し、保護者の経済的負担軽減に配慮すべきではないか」と市教育委員会にただしたところ、前向きの答弁を得ていました。

補正予算組まれる

広報で入学前支給紹介

 その後12月に開催された市議会教育民生常任委員会で、当局側から従来6月に支給されていた入学準備金を今年度から前倒しして行うための補正予算案が提案・議決され前倒し支給が確定したものです。2017年1月15日号の「広報いせ」にも入学前に支給されるようになったことが紹介されています。
 前倒し支給が決まった後、黒木市議が教育委員会の担当者に前向きな対応を決断してくれたことについて評価したところ、「私たちが気づいていなかったことを指摘していただいたので対応させていただいた。ありがたい」と感謝されました。
 多くの自治体では支給対象世帯かどうかを入学前年の世帯所得で判断していますが、所得に基づく納税額が確定するのは5月になるため、6月以降の支給となっているようです。伊勢市は前々年度の世帯所得を基準に対象者を決めているため、即対応が可能となったようです。
 来年度から単価が上がる政府予算案になっていることに関して市の担当者は「正式な通知を受けたのち、適切な時期に差額の支給していくことを検討している」と話しています。

喜びの声あがる

“預金崩さなくてすむ”

 市内で中学2年生の息子と小学6年生の娘を子育て中のシングルマザー・Yさん(40代)は非正規雇用で、手取りが15万円ほどです。新たに中学に入学する娘さんの入学準備には、制服や通学用自転車、ヘルメットなど10万円以上必要です。
 Yさんは「前倒し支給が実現していなければ、車検用の貯金を取り崩すつもりだった。本当に助かります」と語ります。
 今後はクラブ活動費なども就学援助の対象とするなど、さらなる制度の改善が必要となっています。

(2017年2月26日号「守る新聞」)

 
   
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