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生活保護集団提訴 全国連はいったん幕 闘い基準引き下げ取り消しへ

 12年間にわたって10都道府県で120人を超える原告が闘った生存権裁判。母子加算は復活を勝ち取りましたが、老齢加算は2016年の11月1日の、兵庫裁判に対する最高裁の不当決定で終了しました。明暗は分かれましたが、最終的には全て敗訴の老齢加算でもいくつもの明日につながる成果を得ました。そして、生活保護基準引き下げの取り消しを求める集団提訴が走るレールを敷きました。07年設立の「生存権裁判を支援する全国連絡会」はいったん幕を下ろしますが、経験と教訓は新しい裁判の支援組織が引き継ぎます。次の法定闘争が広がっています。(番匠 寛記者)

未来への展望開く数々の貴重な教訓

 「運動は生活保護基準引き下げの取り消しを求める裁判に引き継がれる。成果と課題を次の闘いに生かすことが必要で、きょうが新たな出発点だ」。全国連の第11回総会で、井上英夫会長(金沢大学名誉教授)がこう強調しました。
 全て敗訴の老齢加算ですが、いくつもの光明が見いだせます。
 福岡裁判は10年6月14日、福岡高裁で原告勝訴の判決が言い渡されました。60年の朝日訴訟一審判決から半世紀ぶりの基準問題での勝利でした。提訴時の原告が全国最多の41人というこの裁判で弁護団は、裁判所に原告の生活実態を理解させることに重点を置き、敗訴した一審でも、自宅での検証を実現させました。
 兵庫裁判の控訴審では、加算廃止の検討過程で健康への影響を考慮しなかった場合は、廃止が違法になる余地を認めるなどの前進面がありました。判決は所得減少や低所得が健康に影響を及ぼす可能性に言及しています。
 各地の裁判は、提訴とほぼ同時に支援組織がつくられ、原告と弁護団を支えてきました。青森裁判では「われわれの問題でもある」と労働組合が健闘。積極的な役割を担いました。
 支援運動は、原告のいないところも含めて最終的には40都道府県に広がりました。
 支援組織をまとめる全国連は節々で集会、国会前での座り込み、議員要請、厚生労働省交渉、毎月25日を中心として署名・宣伝(東京都内)を行ってきました。最高裁宛て署名は24万4600筆になりました。取り組みを振り返り、弱点としてマスコミ対応の弱さなどを挙げています。

原告は900人超 新裁判全国に拡大

 13年、14年、15年と3年連続で強行された生活保護基準の引き下げ。これの取り消しを求める集団訴訟が全国に広がっています。「いのちのとりで裁判」と名付けられ、29都道府県で943人の原告が闘っています。支援組織として全国連のDNAを受け継いだ「いのちのとりで裁判全国アクション」が結成され、原告らを支えています。
 生存権裁判とは切っても切れない関係があります。生存権では原告がいなかったものの、支援組織を立ち上げて闘いの輪に加わった愛媛。取り組みを進める中で、保護基準引き下げに反対する運動が盛り上がります。審査請求、再審査請求を経て、2014年11月に原告42人による裁判が始まりました。若い年代の支援者が増えています。
 その名もずばり「新・人間裁判」。北海道では全国最多の153人が立ち上がっています。母子加算復活裁判と同様に、原告が顔と声を出して闘う方針を貫き、世話人が原告を手厚く支えています。また、マスコミなどに幅広くアピール、世論を喚起しようと7月には、アマチュアミュージシャンによるチャリティーコンサートを開きます。
 各地には生存権に続いてという原告も少なくありません。全国連第11回総会に参加した福岡の毛利吉彦さん、今村サヱ子さんもそうです。「90歳だが、最後の1人になっても闘う」(毛利さん) 、「89歳。年をとったが、あと10年はまだまだ頑張る」。闘志満々です。

(2017年6月4日号「守る新聞」)

 
   
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