首都直下型の大地震が今後25年以内に発生する確率は70%と言われています。東京都荒川区は、木造家屋が密集する地域や高層階の建物が多く、危険地域と指摘されていて大災害時の対策は待ったなし。荒川生活と健康を守る会では今、区の防災器具設置助成制度の活用に取り組んでいます。
「大災害の恐ろしさを改めて感じた」「せっかくの制度。自治会や町会にも広げていきたい」―防災班会で、荒川区防災課の田中俊丞係長から防災班会のために作成した「スライド」を見せてもらい、震災の恐ろしさ、災害に向けた備えの必要性や対策などを聞いた会員の感想です。都営住宅の自治会長が参加した班会では、「公営住宅の住民にも防災対策が行きわたってほしい」と、国や都と連携したさらなる防災対策や制度への期待の声が出されました。
防災や制度を知ろう
全班会に防災課係長が参加
荒川区は国の通達などを受けて、「家具類転倒防止器具」や停電が復旧・通電開始時に発生する通電火災を防止する「感震ブレーカー」の設置費用の助成を、全区民対象に実施しています。しかし、「制度を知らない」「防災器具がよくわからない」という声が多く、申請件数は200件と利用が伸びていない状況とのこと。
荒川守る会は「防災制度の活用で、区民・仲間のいのちと暮らしを守ろう」と区防災課と数回懇談し、「防災や制度を広く知ってもらう班会を開く」ことを決めました。
これを受けて、田中係長が班会へ参加してくれることになりました。防災班会は、昨年12月8日の尾久での開催を皮切りに、区内全地域でのべ9回開かれ129人が参加。申請書の書き込み班会も9回開催しました。
「区としても制度の周知徹底と活用を推進しており、地域の住民の方々と懇談しながらお知らせできる機会は貴重」と、時間外・休日も含め全ての班会にかけつけた田中係長は助成制度の積極的な利用を呼びかけ、「区民のみなさんの声で制度を充実させていきたい」と話しました。
制度の充実を急ごう
疑問や要望ぶつけて区交渉
「区民のいのちと暮らしを守る防災制度」を求めて5月26日、区防災センターで交渉。荒川守る会、東京ほくと医療生協、東京土建荒川支部などから27人が参加しました。
助成制度の改善・拡充要求のほか、「洪水時、どこにどう逃げたらいいか分からない」「防災対策でバケツを配るだけでは不安」「誰でもすぐに使える制度にして」など、防災に関する日常の素朴な疑問や要望を区にぶつけました。田中係長は「区民と協力し合い充実を急ぎたい」と回答。この日、67件の集団申請をしました。
災害への不安が大きくなる中で、会員の中でこの助成制度への期待が高まり、荒川守る会では全会員に呼びかけ、200件を目標に申請に取り組んでいます。火災防止の対策は隣同士への広がりが必要で、制度利用の呼びかけは会員・読者の周りの人々にも広がりつつあります。
(石塚かよさん)
(2017年7月9日号「守る新聞」) |