直ちに姿勢を改め、弱者に寄り添った施策を求める声が相次ぎました―。8月22日に行われた全国生活と健康を守る会連合会の2018年度概算要求中央行動に、全国各地から160人を超える仲間たちが結集。政府に、どうしても譲ることができない切実な要求をぶつけると同時に、それの実現に向けて、力の限り断固闘い抜く決意を固め合いました。(番匠 寛記者)
政府の暴走許すな
声を上げ要求実現
参議院議員会館での打ち合わせ集会の冒頭、安形義弘会長があいさつ。中央行動の目的について「各地の実態をぶつけ、要望事項については概算要求に盛り込むよう求め、実現を図る。そして、頻発している人権侵害に歯止めをかける」と強調しました。
続いて、「憲法改悪や社会保障の解体など、安倍内閣はまさに何でもありき状態で突っ走っている。私たちのことを抜きに物事を決めていることは許せない。ちゃんと国民、当事者の声を聞けという世論を、中央行動などの取り組みを通して喚起しよう。そして、それを全生連運動の力にし、声を上げる人を広げていこう」と呼びかけました。
参加者は大きな拍手で呼びかけに応え、あたらためて決意を固めました。
省庁交渉(詳細は次号)は生活保護(基準、運用)、国民健康保険と年金・介護・高齢者医療、子ども貧困対策と貸付金・母子福祉資金、公営住宅と復興公営住宅・原発災害の4班に分かれました。
胸打つ当事者の声
切実な実態次々と
省庁交渉で各班は、生活破壊は許せないと行政の姿勢を批判。国民本位の施策実施を求める声が会場に響きました。実態をリアルに示し、改善を迫る参加者。しかし、当局の返答は、安倍政権の国民無視路線を端的に示すかのような、具体策に欠けるものが目立ちました。
どれもこれも切実極まりないものばかりの交渉会場での訴え。当事者の声が現状を鋭く告発します。
「被害者は加害者にいろいろなことを決めてもらって生きてきた」―。原発事故で故郷の福島県飯館村からの避難を余儀なくされた佐藤八郎さんは、国と東京電力を言葉巧みに皮肉りました。事故を引き起こしたにもかかわらず、加害責任に真摯に向き合わない無責任ぶりを追及し、実情を顧みない避難指示解除を批判しました。
同郷でやはり避難生活を送る佐藤みつ子さんは、孫が避難先でいじめに遭いました。「孫を救って」と訴える涙ながらの声に、会場は静まり返っていました。
生活保護の会場では、利用者が次々と発言。たび重なる基準引き下げや各種加算額の削減などによりさらなる節約を強いられ、それが食生活をも破壊し、健康不安をかきたてられている実態などを語りました。憲法25条の空洞化は何としても食い止めねば、との決意がこもった言葉が続きました。
また、要望の中で、大阪市が試験的に行っている「確認カード」については、「実情を調べ、おかしなことがあれば対応する」との回答がありました。
共に頑張ろう
国会議員2氏からエール
打ち合わせ集会には日本共産党の参議院議員2氏、辰巳孝太郎さんと倉林明子さんも駆け付けました。それぞれから、「共に頑張ろう」と力強い連帯のあいさつがありました。
「議員になる前は生活と健康を守る会の専従で10年間働き、当時は中央行動にも毎年参加していた」と切り出した辰巳さん。「国会議員になって痛感したのは、政府も役人も国民の生活実態を知らないということ。状況がわかっていないから予算は無駄遣い。防衛省の概算要求は過去最高で、軍事費は際限なく増大している」と述べました。
倉林さんは「みなさんの要求を国会に持ち込んで闘う」と述べるとともに、安倍内閣の社会保障政策について「予算削減を続け、このままでは解体の道を進むばかり」と強い懸念を示しました。そのうえで、「内閣を退陣に追い込み、社会保障を充実させる政権を実現しよう」と強調しました。
(2017年9月3日号「守る新聞」) |