8月18日から20日まで、「みんなで21世紀の未来をひらく教育のつどい」(教育研究全国集会)が岡山市内のシンフォニーホールなどで、のべ5000人の参加で開かれました。主催は24団体でつくる実行委員会。18日の全体集会では石川康宏さん(神戸女学院大学教授)の講演、19、20日は28の分科会が開かれ、私(関藤)は教育条件確立の運動の分科会で「低所得層の子どもたちの現状」を報告しました。(関藤香代子通信員)
「戦争できる国」にさせない
記念講演 石川康宏さんの話
「社会のしくみと子どもの育ち」と題した講演では4点のことが話されました。
一つ目は、教職員の長時間労働の改善が大切。
二つ目は、生きづらい世の中だからこそ学生たちにメンタルな部分や経済的な問題が増えており、大人になるための自立することの課題、展望、道筋を示して、その努力を励ましながら「人を育てる」のが教育者ということ。
三つ目は、子どもたちが自立への努力を自分からできるように、自分でつくるそれぞれの人生が考えられるように、10年後20年後を周りの大人から想像できるように力をつけるのが教育。
四つ目は、日本国憲法のすばらしさを学習し広く手をつなぐことが重要ですと、呼びかけました。
人権は侵すことのできない永久の権利で、自由権、社会権、男女平等、選挙権、戦争放棄など世界史的に見ても先駆的な現代憲法ですが、すべての人がこの素晴らしい憲法の大切さを実感できない国民になっていると指摘しています。
そして、安倍自民党政権が憲法改悪をして「戦争のできる国」づくりをしようとしており、「そうさせないために、2016年の参議院選挙での大きな成果、市民と野党の共同を広げることが大事。『改憲派3分の2』の議席から、改憲させない議席を取り戻す運動を大きく広げる重要な時です」と話しました。そして「先生たちもこのことを、“じわっ”と広げていただきたい」と結びました。
子どもの学習権保障を
第21分科会報告 関藤香代子さん
岡山市の就学援助制度は4人家族で総収入402万円が基準です。全児童の25%が対象になりますが、実際は14%しか申請していません。認定になっても給食費は実費の半額しか出ないことも影響していると思います。
私たちは「義務教育完全無償化をめざす岡山市民会議」という共闘組織で市と交渉します。その中で、修学旅行に参加しなかった子どもは2016年度、小学校で61人、中学校で161人です。気になるのは、就学援助認定者が小学校で13人、中学で23人含まれていることです。就学援助の支給額だけでは修学旅行の費用を賄うことはできません。「お金が足りない」ことも参加できない理由の一つになっていると思います。
2013年8月から3年かけて最大10%の生活保護費の削減がされました。特に子どもたちのいる世帯は大幅な減額になり、1か月2万円を超える削減になっています。
今、岡山県では学校が“荒れている”ので「落ち着いた学習環境づくり」として学校の「指導体制強化」のために現職警官が制服で各学校を巡回しています。それは、少年法の改悪で刑事処分の可能年齢が16歳以上から14歳以上に下げられたことが関係していると思います。警官の巡回は教育とは相いれません。
小学校・中学校での義務教育は、人間として生きるための力を付ける大切な基礎学力を身に付ける場です。義務教育は無償で学習権を保障するのが、国と自治体の責任です。そのために、日本国憲法を生かし、国に責任を果たすよう求める運動を強めていきます。
(2017年9月10日号「守る新聞」) |