国民そっちのけ。これが日本の政治、安倍自公政権の本質です。目が向いているのは大企業と富裕層で、それ以外は蚊帳の外です。その国民不在を端的に示すのが社会保障政策。生活保護基準引き下げや年金カットなど、弱者いじめが目に余ります。そんな悪政を続ける現政権とそれを補完するかのような勢力に、日本の将来を託していいのでしょうか。(番匠 寛記者)
経済情勢は上向き気配に欠け、国の財政は国債、つまり借金頼みになっています。しかし防衛費は増え続け、限られた予算の中で、社会保障費が狙い撃ちされています。所得が低い高齢者や生活保護利用者など、弱者の生活は年々、苦しさを増しています。
続く高齢者いじめ
介護・医療
不安なく暮らせるよう、社会保障拡充が国民の要求です。ところが政治は真逆。削減・改悪が進んでいます。
総人口が減少している日本ですが、65歳以上の高齢者は増え続けています。総務省の推計では今年9月15日時点で3514万人。前年より57万人増加し、構成比は27・7%と過去最高を記録しました。これに伴い、年金や介護、生活保護などの給付も増えます。「自然増」と呼ばれています。
自然増は当たり前のことなのに、政府は増加分を毎年5000億円ほどに抑えています。
来年度の自然増は今年度より増え、6300億円と見込まれますが、抑制策の下では1300億円分もの削減となります。20%を超える大幅減です。
公的負担の減少で増えるのは自己負担。介護では15年に施設入居者の居住費・食費の補助対象が縮小され、今年も利用者負担の上限額が上がりました。同様に医療でも制度改悪が続いています。
介護保険料と国民健康保険税・料の値上げも相まって、負担だけは確実に増え続けますが、収入は追い付きません。年金は13年から3年かけて2・5%減らされ、今年も0・1%下げられました。引き下げ可能な仕組みができています。不安だらけです。
自分の収入だけでは暮らしていけない高齢者は増えるばかり。生活保護利用世帯が今年7月には86万3000世帯を超えました。単身世帯が目立ちます。
命綱細るばかり
生活保護
高齢者のみならず生活に困っている人たちの最後の命綱となっている生活保護。これが今、たび重なる基準引き下げなどにより、危機にひんしています。
埼玉県の岩槻生活と健康を守る会の荒川公雄さん(55)は、病気で働けなくなり、生活保護を利用し、基準引き下げの取り消しを求める裁判を闘っています。改悪が続き細るばかりのセーフティーネットの現状にいても立ってもいられず、9月29日の宣伝に駆け付け、厳しさが増すばかりの生活実態を訴えました。
「保護基準切り下げの影響がじわじわ迫とってきている。そんな中での子どもの高校進学は大変だ。費用が足りないので、家賃を滞納せざるを得なかった。行政は我々の声をなかなか聞き入れてくれない」
厚生労働省は来年度予算概算要求で、新たに「生活保護世帯の子供の大学等への進学の支援」を盛り込みました。「『生活困窮者自立支援及び生活保護部会』における議論等を踏まえ、生活保護世帯の子供の大学等への進学について、必要な財源を確保しつつ取り組む」としています。
しかし、生活保護全体については「基準の検証・必要な見直しへの対応について、年末までに結論を得る」とし、さらなる基準引き下げ強行の意向を示しています。
利用者の声を聞け
厚労省前で宣伝
「当事者の声を聞き、保護基準を下げるな!」―。生活保護基準部会があった9月29日、厚生労働省前で利用者らの力強い声がとどろきました。
全国生活と健康を守る会連合会の宣伝で、首都圏の会員ら約70人が集まりました。「単に利用者だけの問題ではない」と全日本年金者組合やきょうされん、中央社会保障推進協議会からも大勢が駆け付けました。
(2017年10月15日号「守る新聞」) |