岩手県生活と健康を守る会連合会女性部(高橋和子部長)は10月2日、「第13回いわて女性のつどいin矢巾」を開催。県内各地から83人が集まりました。矢巾町の高橋昌造町長のあいさつを皮切りに、「学び」と「交流」を二本柱とするプログラムがスタート、有意義なひとときを過ごしました。(橋和子さん)
貴重な話聞き感動
戦争も振り返る
2つの柱で続いてきたこのつどい。東日本大震災が起きた2011年からは毎回、津波で大きな被害を受けた沿岸部支援を柱の中に組み込んで企画しています。
今回の「学び」は講話が二題。その一つでは農業を営む久保田みき子さん(全日本農民組合連合会全国女性部長)が講師を務めました。
国際的な農民組織ラ・ビア・カンペシーナの取り組みなどに触れ、「食料主権(自国民のための食料生産を最優先し、食料・農業政策を自主的に決める権利)」について話しました。また、国連の「家族農業」という概念を説明しました。
もう一人の講師は、JR矢幅駅近くで暮らす寿会会長の高橋剛太郎さん。地域の変遷などについて話してくれました。
話の最後は太平洋戦争中のことでした。(1)駅から出征する兵士を、当時の自分は何も分からないままに日の丸の旗を振って送り出した(2)戦争末期に盛岡市を空襲した米軍機が、岩手山から方向転換。襲ってくる様子を見た―ことなどの体験を語りました。
「どんなことがあっても、戦争は絶対にやってはだめ」という思いが込められた貴重な話に、会場は静まり返りました。
被災者から報告
日常生活戻らず
沿岸部からも参加者が集まりました。大槌町の中村光さん、山田町の佐藤照彦さんが被災者・地の現状について次のように話しました。
「仮設住宅から災害公営住宅に移っても、ドアが閉められた中で暮らす高齢者は、周りの人たちと交流が希薄になる。あれほど過酷だったにもかかわらず、仮設暮らしを懐かしむ人もいる。また、家賃負担が必要になったことで、経済的にも大変だ」
佐藤さんからは漁業者の生活、サケ漁の権利をめぐる話もありました。
津波で漁船を失うなど漁業者の生活基盤が揺らいでいます。今後とも漁業で生計を立てていくためには、現状では有力者が握っているサケ漁の権利が、一般漁業者にも与えられなければなりません。それを求めて闘われている裁判支援の要請がありました。
いまだに日常生活が取り戻せていない被災者・地。災害公営住宅に移っても、交通インフラ整備の遅れなどによる不便な生活が続いています。
被災者支援活動では病院送迎の継続が難しくなっているという発言もありました。震災から6年半以上も経ったというのに、復興事業の課題はまだまだ山積みです。
心も体も温かに
楽しさいっぱい
報告の中では、山田町で佐藤さんらが取り組んでいる「お茶っこ会」のことも話題になりました。スタート以来、途切れることなく定期開催を続けています。心身ともにリフレッシュできる場として、被災者を喜ばせているという話が、みんなを和ませました。
午前のプログラムが終わり弁当の昼食。農民連女性部のみなさんが作った岩手の郷土料理、サトイモやきのこなどを使った秋には欠かせない「芋の子汁」が添えられました。お腹も心もほっかほかになりました。
バザーではそれぞれが持ち寄った手作りの品々、花、果物や野菜、海産物、そして地元の就労支援施設が出品したコーヒーとクッキーなどが人気を集めていました。
午後は「明日への活力タイム」と銘打たれた楽しさいっぱいのプログラム。歌、踊り、楽器演奏、朗読などいろいろな出し物が登場しました。ボランティア出演も交えた芸達者のみなさんの熱演で、会場は大盛り上がりでした。
矢巾町からはかなり距離のある、沿岸部からの参加者がまだ明るいうちに帰宅できるようにと、閉会はちょっと早目。村上育子副部長のあいさつで幕を下ろしました。
(2017年11月5日号「守る新聞」) |