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奨学金を収入認定 生活保護費を減額

福島市の処分は違法

勝訴は通過点

運動を強めよう

 福島市の生活保護利用者Nさんの長女は2014年4月、頑張って希望の高校に入学し、市と民間団体から給付型奨学金を受けました。しかし、市はその奨学金を収入と認定し保護費を減額。Nさん母娘は、審査請求・再審査請求を闘い、15年4月に提訴。18年1月16日に福島地裁で判決が言い渡されました。(小古間ゆりか記者)

 喜多方、郡山の会員も含め福島地裁に駆けつけた53人が法廷内外で見守る中、金澤秀樹裁判長は「保護費から奨学金を差し引いた福島市の処分は違法」と述べ、母娘に各5万円の損害賠償を命じる判決を言い渡しました。

検討・調査せず減額

精神的苦痛に踏み込む

 その後、支援団体・エバーグリーンプロジェクト主催の判決報告集会が福島テルサで開かれました。70人が参加し、冒頭、倉持惠弁護士の「勝訴です!」に大きな拍手。
 Nさんが「たくさんのご支援のおかげで勝訴できた」「勝訴はうれしいが、通過点。二度と同じことが起きないように目を光らせる必要がある。安心して受けられる福祉、子どもたちが安心して学び夢を育める体制を整えてもらうため、市に働きかけていかないといけない」と述べました。
 倉持弁護士が判決について、「学校で必要な費用は奨学金の収入認定から除外されるが、奨学金が自由に使えない基準自体おかしいと裁判で問いかけた。判決は、『普通の高校生活を送るための不足分を生活扶助費から出して、生活費不足になりえるから慎重な態度で臨むべき。Nさんが提出した自立更生計画書や資料の検討、調査もしなかったのは公務員の裁量権を逸脱』と断じた。保護費減額で受けた不安や精神的苦痛に踏み込んで、慰謝料を認めた。この点は高く評価できる」と説明。
 そして、「勝訴はみなさんの運動の成果。教育を受ける機会を奪われないために、もう一歩前に進むきっかけにしたい」と、参加者を励ましました。

「控訴はするな」

行動を直ちに始めよう

 若い女性の参加者が「判決の意味がよく分からなかったが、報告集会に参加して裁判官の“心”が見えた。心の通った制度にしていくことが必要なんだとよく分かった」。「本人が最後まで頑張ったから、勝訴につながった」という発言も相次ぎました。
 控訴期限は1月30日。会場から「控訴するなという行動を直ちにやらなければいけない」と声が上がり、17日に市に申し入れに行くことが報告され、拍手で確認しました。


これまでの経過

2014年6月30日
福島県知事に対して、審査請求。修学旅行積立金の一部として、市は10月10日に10万円、11月5日不足額1万5817円返還。11月27日に棄却裁決
14年12月26日
厚労大臣に再審査請求
15年4月30日
収入認定処分の取消と精神的苦痛に対する慰謝料支払い(国家賠償)を求め提訴
15年8月6日
厚労大臣が、「福祉事務所が可能な調査や検討もせずに、全額収入認定をしたのは不当」との理由で処分取り消し裁決。実施要領の改正
15年10月16日
処分取り消し訴訟については取り下げ
18年1月16日
判決言い渡し。勝訴判決に

(2018年1月28日号「守る新聞」)

 
   
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