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遊びは子どもの主食

ワクワク・ドキドキ夢中になれる取り組みを

子どもの権利・教育・文化全国センター 事務局長糀谷陽子さん

 子どもたちは夏休みまっただ中。夏休みくらい子どもたちをゆっくり、のびのびとさせたいと思いませんか。子どもをめぐる状況と夏休みの過ごし方について「子どもの権利・教育・文化 全国センター」事務局長で、元公立中学校教員の糀谷陽子さんに書いていただきました。

学校は授業時間増

子どもたちから悲鳴

 「ランドセルや通学カバンが重くて心配」「毎日たくさんの宿題が出され、泣きながらやっている」など、子どもの勉強の大変さが話題になっています。
 文部科学省が学校の教育課程や教科書編集の「基準」とさせている学習指導要領が改訂され、4月から小学校3年生以上で年間15時間の「外国語活動」を増やすなどの移行措置が始まっています。
 しかし実際には、多くの小学校が1年生から英語を始めたり、35時間(週あたり1時間)も授業を増やしたりしています。それによって毎朝「英語学習タイム」が設定されたり、毎日6時間授業になったりして、中休みや昼休み、放課後の活動時間が短縮されるなど、学校生活がこれまで以上に窮屈になってしまい、子どもたちから悲鳴が上がっていました。
 それだけでなく、全国一斉学力テストを頂点とする「学テ体制」のために「授業時間数の確保」が叫ばれ、代休無しの土曜授業が増えたり、夏休みが短くなったりしている学校もあります。

ゆとりあるくらしが大切

 休み時間に友だちと遊んだり、時にはケンカしたり仲直りしたり、たまにはボーっとしたり……。それらはみんな、子どもの成長にとって欠かせないことです。だから、学校が勉強、勉強ばかりになって、子どもたちがそうやって子どもらしく過ごすことができにくくなってしまっていることは、とても心配です。
 夏休みも宿題がたくさんあって、「計画的に」「規則正しい生活を」と言われますが、子どもにあわせてゆとりある日々を過ごさせてあげたいものです。

夢中になって遊ぼう

豊かな子ども期の保障

 「遊びは子どもの主食です。スマホを置いてふれあい遊びを」。お医者さんの待合室に貼ってあった医師会のポスターです。
 日本体育大学の野井真吾先生は、子どもたちの交感神経が過緊張状態を示しているというデータを示し、「子どもらしくワクワク・ドキドキしながら夢中になれるとりくみ」を増やすことが大切と言われます。
 でも、今はボール遊び禁止の公園があったり、子どもたちが騒いでいると苦情が来たり……。地域で遊ぶことも容易ではありません。一緒に遊ぶ仲間を探すことも大変です。
 それに、共働きの家庭にとっては、夏休み中、小学生の子どもの預け先を探すことも大変。学童保育への登録は、この20年間で3倍になり、学童に入れない待機児童数は約1万7000人と言われています。預けることができたとしても、保育園の頃より早く閉所してしまうので、働き方の変更を迫られるケースも生じているそうです。

子どもの育ちを支える取り組み

 また、貧困のひろがりの中で、「学校の給食だけが食事らしい食事」という子が増えていると言います。その子たちは、夏休み中どうしているのでしょう。
 そうした意味でも、今、各地で行われている子ども食堂やフードバンク、無料塾や勉強会、子ども祭りやキャンプなど、地域で子どもの“育ち”と“学び”を支えるとりくみが、いっそう重要になっています。自然や仲間とふれあい、身体を動かして夢中になって遊ぶ―そうやって豊かな子ども期を保障するとりくみが広がるよう、みんなで手をとりあっていけたらいいなと思います。

(2018年8月5日号「守る新聞」)

 
   
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