権利行使 自主申告で暮らし守る
税運動強化 東京の生活と健康を守る会
3月の税金申告を前に、各地の生活と健康を守る会では自主申告で納税者の権利を守ろうと、税運動が進んでいます。東京では、東京都生活と健康を守る会連合会が昨年12月に1回、今年1月に2回学習会を開きました。単組・班ベースでも新年に入って取り組みが加速しています。1月早々にあった足立と板橋の運動の現場にお邪魔しました。(阿久津 豊通信員、番匠 寛記者)
学習会で決意新た
足立
16日に足立生活と健康を守る会の「税運動学習&交流会」がありました。都生連の伊藤悦子副会長・税対策部長を講師に招き、21人が参加しました。
「税は昔から権力者との闘いだった」と、伊藤さんの講義は歴史から始まりました。(1)農民は年貢などの厳しい取り立てに抗議し、一揆を起こした(2)第二次大戦後の一時期日本を統治したGHQの一方的な取り立て・差し押さえに対する強い抵抗―など、為政者の横暴、徴収される側とする側との攻防についての分かりやすい話でした。
「数々の攻防を経て、日本国憲法の下では、応能負担の原則で所得税は自分で申告し、納税する方法を勝ち取った」―。そんな伊藤さんの話に、みなさん納得でした。
参加者からは「税申告の書き込み会や説明会を開く」「消費税は低所得者ほど負担が重い。増税中止署名を頑張る」などの声がありました。
班ベースでもさまざまな形で税運動が進んでいます。桜木班の今年の仕事始めは、4人が参加した「税学習会・住民税申告編」でした。
「仕事を辞めたので、収入が年金だけになってしまった。これからは確定申告ではなく、住民税の申告になるが、住民税申告書は随分と前に書いたきりだから、もうすっかり書き方を忘れちゃったよ」―。会員のこんなつぶやきをきっかけに、学習会開催となりました。
「税金は必ず自主申告し、納める必要がない額については払わないようにしよう」ということなどを学び、いろいろなことを話し合いました。
朝ドラからも学ぶ
板橋
板橋生活と健康を守る会(加藤勝治会長)の新年は、税運動で始まりました。9日の学習会には、10人が集まり、運動の意義などを学びました。
講師は大田生活と健康を守る会の武政良久事務局次長。前職は民主商工会とあって、制度を熟知しています。「守る新聞」の税金特集(昨年の11月25日号)とパンフレット「税金のはなし」をテキストに使って、主として所得税申告について分かりやすく話してくれました。
干支(えと)の亥(いのしし)にちなんだ話から始めた武政さん。「暮らしを守り豊かにし、組織を大きくする」と運動の意義と目的を語り、税の歴史を解説しました。ここで参加者を引きつけたのは、NHKの連続テレビ小説(朝ドラ)『まんぷく』の一こまでした。
ドラマでは、GHQの強権的な税金取り立てが描かれました。占領下とあって国税当局は言いなりです。萬平さんは身に覚えのない脱税の罪をでっち上げられ、刑務所に収監されます。
当時は実際にこのようなことがありました。圧制に我慢ならない国民は激しい闘いを繰り広げました。
ドラマなどから運動の歴史を学んだ後は、実践編・申告書作成に移りました。年金の源泉徴収票や電卓などを用意してやって来た参加者は、武政さんの話をききながら、用紙に計算した数字を書き込みます。
参加者のうちこれまでに申告書を書いたことがあるのは3人だけ。未経験が多数派とあってか、経験者も含めてみなさんとも真剣な表情で机に向かい、黙々と例題に取り組んでいました。会場内は武政さんの説明と電卓を叩く音が聞こえるだけでした。
「胸に落ちる話だった」と参加者の一人。ここで得た知識を基に、3月の集団申告に臨みます。
前年の税運動では、約40人におよそ100万円の還付金がありました。申告しなければ戻ってこなかったお金です。この成果に、加藤会長は改めて税運動の重要性を痛感しています。地域ごとの学習会など取り組みを強化します。
(2019年2月3日号「守る新聞」) |