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新生存権裁判 東京

厚労省しどろもどろ

デフレ調整の問いに沈黙

 厚生労働省の代理人はしどろもどろ。裁判長や原告側の問いかけに、ちゃんと答えられません。東京の生活保護利用者が生活保護基準引き下げの取り消しを求めている「新生存権裁判 東京」の法廷で、何とも奇妙な光景が繰り広げられています。あらためて基準引き下げの不当性が分かる一こまです。(番匠 ェ記者)

 裁判の争点はデフレ調整・物価偽装。基準引き下げの際に、厚労省が根拠として挙げた物価下落率を、計算手法を操作することで大きくしたのではという疑問です。昨年10月29日の第1回口頭弁論では、これをめぐって裁判長が被告代理人に質問。しかし、代理人は返答に詰まり、明確な答えは聞かれずじまい。あたかも引き下げの不当性を示したかのような場面でした。
 被告側の迷走はそれだけではありません。求釈明(説明を求める)への対応がはなはだしく遅いのです。答えがあったのは今年に入ってから。2月6日にあった第2回口頭弁論の1週間前、1月30日でした。
 遅いだけならまだしも「質問に答えておらず、内容が不十分」(田所良平弁護士)。裁判長も同様な考えのようで、第2回口頭弁論では「十分な説明がない。内容のあるものを出してほしい」と注文。ちなみにこの日も法廷では、裁判長の質問に対し、被告代理人がしばし沈黙という場面がありました。
 第2回口頭弁論後の報告集会で、黒岩哲彦弁護士は重ねて説明を求める裁判長について「国側の主張に疑問を持っているのではないか」と述べました。また、佐藤宙弁護士は「国側が説明できないのはいい加減なことをやっているからで、文書でも墓穴を掘っている」と語りました。

人間関係希薄に  原告が意見陳述

 2月6日、法廷で意見陳述したのは発言順に原告の神馬幸悦さん(54)と木村良太さん(37)の2人。厳しさを強いられる生活実態について、それぞれ次のように話しました。
 「腎不全で週3回人工透析を受けている。食費を削り、服はリサイクル品を購入している。暖房費も節約し、エアコンはできるだけ使わず、重ね着やマフラーでなんとかしのいでいる。食事や光熱費などに加え、人とのつながり、人間関係が奪われている。友人からの誘いがあっても、飲食に費やす費用を捻出できないので断らざるを得ない。親戚との交流もなくなってしまった」(神馬さん)
 「利用者は社会的に孤立してしまう。友人からの誘いも断らざるを得ず、どうせ来ないということでいつのまにか誘われなくなる。これでは仲間外れにされたようなものだ。また、帰省し墓参することもままならない。我慢と節約を重ねるこんな現実は、人間らしい暮らしではない」(木村さん)
 口頭弁論前には、雨模様の空の下、地裁前で集会が取り組まれました。

引き下げに異議  各界から次々と

 生活保護基準引き下げ、デフレ調整・物価偽装に対しては、学者・研究者などからも次々と声が上がっています。
 貧困研究の第一人者で、部会長を務めるなど生活保護基準部会でも中心的な役割を担ってきた岩田正美日本女子大学名誉教授は、名古屋地裁に原告側の意見書を提出しました。厚労省が基準部会の答申を尊重せず、懸け離れた決定=基準引き下げを行った経過について、かなり踏み込んだ内容です。
 また、「意図的では」と数々の統計不正問題が騒がれているこの機会に、あらためて問題を問い直そうと学者・研究者が共同声明をまとめました。
 生活保護をめぐって、厚労省を追及しているフリーライターの白井康彦さんは、偽装のからくりを突き止めました。「生活保護費大幅削減のための物価偽装を暴く」と自身のホームページで公開しています。
 全国で1000人を超える原告が闘っている基準引き下げの取り消しを求める裁判。支援の輪と厚労省包囲網が広がっています。

(2019年3月3日号「守る新聞」)

 
   
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