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なぜ審査請求? 千葉市でCWが生保利用者に

決してあってはならぬこと 市、平謝り

 生活保護基準引き下げに対して審査請求書を提出した利用者に、ケースワーカー(CW)がその理由を尋ねる。審査請求への妨害行為、嫌がらせと指摘されても仕方がない事件が千葉市で起きました。事態が発覚するやいなや、千葉県生活と健康を守る会連合会(大橋廣志会長)は事実関係を調査し、市に抗議しました。市はその場で誤りを認め、陳謝。後日、あらためて「深くお詫び申し上げます」との文書での回答がありました。(番匠 寛記者)

 「どうして不服審査を」「あなた自身で提出したのか」など、人権侵害まがいのことを聞かれたのは6人。いずれも生活と健康を守る会の会員です。最初に判明した中央区の男性の一件を追及する中で、一連の事態が明らかになりました。
 男性はCWとその上司から審査請求の理由を聞かれただけでなく、所持している精神障害者手帳の提出を求められました。そのため請求に嫌気がさし、「辞退する」との意思表示がありました。人権に関わる大問題です。千葉県生連はすぐに行動に移し、矢継ぎ早に手を打ちました。
 事実確認などを終えた2月12日、抗議文を携えて千葉市保健福祉局との交渉に臨みました。

人権侵害は明白 千葉県連が抗議

 「請求権を侵害するもので、他の自治体ではこんなことは起きていない」(大橋会長)、「第2の小田原ジャンパー事件になりかねない」(高野秀純事務局長)などの追及に、千葉県生連が動き出してようやく事態を知った市はたじたじ。平謝りでした。保健福祉局次長は次のように陳謝しました。
 「事実を知り、びっくりした。職員は軽い気持ちで聞いたらしいが、決してあってはならないこと。利用者は委縮してしまうとの指摘はよく分かるし、深くお詫びする。やってはいけないこととすぐに分からなければならないことをやってしまった背景には、CW教育が十分ではなかったことがある。スーパーバイザー(管理・監督職)を含めて職員教育をし直す」
 やりとりの中で、CW一人当たりの担当が90世帯を超えることが明らかになりました。 すかさず高野事務局長が「少なくとも80世帯に」と要望しました。
 陳謝を受け、大橋会長は「利用者の自立を考えるのが福祉行政。その原点をとらえてほしい」と注文。「国の悪政の防波堤として頑張ってほしい」と述べました。

再発防止努める 改善策打ち出す

 非を認める市。事件発覚後の対応は迅速でした。
 1月18日に受けた、千葉県生連からの事実確認のための面談要請には即日対応。その場で保護課長は「同様の案件は他にもあるようだ。精神障害者手帳の提示を求めるのはおかしい」と話し、各区の審査請求への対応をまとめることを求める依頼に応じました。
 21日午前の中央福祉事務所との面談では、担当課長が「大変申し訳ないことをした」と平謝り。この日の午後には6人への対応をまとめた文書が、千葉県生連に届きました。
 翌22日、保健福祉局次長が6行政区の保健福祉センター所長に「暗に審査請求の取り下げを求める圧力とも疑われかねない行為は厳に慎むこと」と通知。28日にあった6区の社会援護課長が出席する会議では、通知の周知徹底を求めました。
 さらに、2月8日の福祉センター所長が参加する会議でも再度、周知徹底するよう求めました。
 また、2月13、14日の両日、保健福祉局次長と保護課長が6区を回り、福祉センター所長、社会援護課長と面談。千葉県生連の抗議文のコピーを渡し、その内容を説明するとともに、交渉の場で出た発言を伝え、審査請求した人に対し、それに関して決して言及してはならないと指導。併せて、この問題は生活保護に限ったものではないとの観点から、センター全体で留意するよう注意を喚起しました。
 各区への指導は今後も継続的に行い、CWの研修も含めて再発防止に努めるとしています。

(2019年3月10日号「守る新聞」)

 
   
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