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国民は怒ってる

年金は国の責任

安心できる老後を

 リタイア世代の収入源、頼みの綱の公的年金が大変なことになっています。それしか実入りのない高齢者世帯が多いにもかかわらず、政府の福祉切り捨て路線の下で支給額は削られるばかりで、高齢者だけでなく若年層にも不安が広がっています。「老後は年金で悠々自適」。そんなことが言われていた時代もありましたが、今ではそれは、国民の大半の人にとっては夢のまた夢、叶わぬ願いになってしまいました。世界に冠たる高齢化社会日本で、年金生活者の現状はどうなっているのでしょうか。(番匠 寛記者)

生活資金が足りない 政府調査でも明白に

 「夫婦そろって65歳から30年生きると老後資金が2000万円不足」―。隠しておきたい事実を明らかにされた都合が悪い内容なので、政府は受け取りを拒否しましたが、金融庁金融審議会がそんな報告をまとめました。事実上の撤回に追い込まれたこの報告が意味することは単純明快です。年金だけでは老後の生活が成り立たないということです。
 そこで気になるのが高齢者の所得と生活実態です。厚生労働省の2018年国民生活基礎調査でショッキングな実態が浮き彫りになりました。
 総所得が公的年金・恩給のみの世帯は51・1%と全体の過半数。残りの層でもかなりの部分で年金・恩給の占めるウエイトが高く、大勢の人たちが年金頼みです。
 1世帯当たりの総所得自体は334万9000円(全世帯平均は551万6000円)と、前年の318万6000円より増えてはいます。リタイア後も働く(働かざるを得ない)人の増加が背景にあるようで、手離しでは喜べません。
 生活は「大変苦しい」が22・0%、「やや苦しい」が33・1%。55・1%が「苦しい」とし、その割合は前年より0・9ポイント増えています。
 高齢者世帯数は1406万3000で、全世帯の27・6%。いずれも過去最高でした。

あれこれ我慢ばかり 節約そしてまた節約

 高齢化の進展で年金生活者は増えるばかり。東京の荒川生活と健康を守る会の伊藤喜四郎さん(78)に現状を聞きました。
 山形市の中学校を卒業し、就職で東京へ。旋盤工として4年ほど働いた後は菓子職人などを勤めました。奥さんに先立たれ、今は愛犬と暮らしています。
 収入は厚生年金のみで、未加入だった勤務先もあったことから、手取りで月9万円ほど。出費は食費、日用品費、水道光熱費、住居費(借地の一戸建ての維持費、地代など)、ペットフード代など多岐にわたり、とにかく節約に努めていますが、年金だけでは賄いきれません。やむなく貯金を切り崩しています。
 「厳しい」と話す伊藤さんが心がけているのは、できるだけ安く買い物をすること。値引き商品購入や品物によって買う店を変えるなど努力と工夫を怠らず、出費は家計簿で細かく管理しています。趣味のカラオケも月1回がやっと。万事にわたって締めています。
 節約を強いられる世の中は変革あるのみ。「選挙では、知人に野党への投票を呼びかけている」


議論をもっと大きく

日本年金者組合 金子民夫委員長

 老後生活に2000万円不足というのは、多くの高齢者の実感でしょう。基礎年金だけの人や、厚生年金でも低額の人が大勢います。
 高齢でもパートで働いて不足分を補ったり、貯金を取り崩したりして何とか生活しているのが現状。多少蓄えがあっても、病気になってなくなったという話もよく聞きます。
 年金はマクロ経済スライドで物価上昇以下に抑制され、介護保険料などの天引きで目減りしていきます。私は、2004年の年金大改悪以降、月3万円ほど手取り額が減少しました。
 参院選直前には年金問題が論争になったものの、政府・自民党はたくみに争点外しに努め、選挙に影響するのを避け続けました。しかし、年金問題は大きな議論にならざるを得ません。今後を考えれば、働く人の約4割が非正規雇用であり、仕事を掛け持ちしないと暮らせないという状態は異常です。年金財源の観点からも正規雇用を増やす必要があります。
 12年からの年金削減(2・5%)を違憲と訴える年金裁判を全国で闘っています。併せて基礎年金で月額8万円の最低保障年金制度創設を求めています。現在、第3次提言を議論中で、18兆円の新規財源確保のため、国債償還の計画変更や大企業の負担増などが必要と考えています。

(2019年9月1日号「守る新聞」)

 
   
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