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生活保護裁判

引き下げ根拠崩れる

原告側証人が重大発言

 憲法25条・生存権をないがしろにする国は許せないと、生活保護基準引き下げの取り消しを求めて、全国で1000人を超える利用者が原告となって裁判を闘っています。地裁よって進行状況はそれぞれですが、まず引き下げありきで自らに都合のいい数字を用いてことを急いだ政府の姿が明らかになり、原告側証人からは「(引き下げは)容認していない」との重大証言がありました。先行する愛知は来年4月に判決の見通し。公正な判決を求める署名運動が各地に広がる中、裁判はヤマ場を迎えています。(番匠 寛記者)

 裁判の大きな争点はデフレ調整。国は、2007年から08年のインフレを無視し、特殊な計算式を用いて物価下落率を4・78%と算定しました。東京では弁護団がこの誤りを鋭く追及。被告側は答えに詰まり、しどろもどろ状態に陥ることが珍しくありません。
 裁判長は原告主張に「その通りと思う」と理解を示し、被告には説明不足を補う書面提出を求めました。
 東京弁護団の田所良平弁護士は、相撲に例えて「被告は徳俵に足がかかっている」と解説。つまりあとひと押しということです。
 そんな中で飛び出した「容認していない」発言。発言の主は、岩田正美・日本女子大学名誉教授です。岩田さんは、厚労省の社会保障審議会生活保護基準部会で部会長代理を務めた、貧困研究の第一人者です。デフレ調整による引き下げを問われ、「議論もしていないわけで、容認していない」と明言しました。

年金裁判と一体で

 生活保護だけでなく年金も支給額が削られています。老後の欠くべからざる収入源だけに目減りは生活を直撃します。ここでも各地で裁判闘争が繰り広げられています。
 生活保護と年金の削減は、ともに憲法25条をないがしろにするものです。それぞれの裁判を闘う原告・支援者は政府の横暴に対して一体にならねばとの機運が高まっています。各地で裁判を闘う人たちの連携が進んでいます。
 青森ではバーベキュー交流会が今年(10月10日)で13回を迎えました。過去最高の154人が会した激励と決起の場で、改めて一致団結の思いを深め合いました。
 福岡では両裁判を支援する「いかんよ貧困・福岡の会」が組織されています。11月10日の第5回総会にはそれぞれの原告、弁護団、支援者など60人が参加。「来年度中の終結を目指す。2020年が重要な闘いになる」と意思統一しました。

気を抜かず全力で

 現状、被告は追い詰められています。しかし裁判は判決が出るまでは分かりません。原告に有利な情勢とはいえ油断大敵です。
 「裁判に一段落はなく、これから厳しい状況が生まれるかもしれない。みんなの力で世論を盛り上げ、政府に『こりゃまいった』と言わせる状況をつくろう」(愛知・内河惠一弁護士)。

(2019年12月15日号「守る新聞」)

 
   
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