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生存権を侵す 2020年度予算案

悪政を転換して暮らしを守ろう

 2020年度政府予算案が12月20日に閣議決定されました。防衛費が増える一方で暮らしに冷たい予算になっています。歳入・歳出などを表にまとめました。予算の特徴と問題点について立正大学法学部客員教授の浦野広明さんに聞きました。

憲法と税の原則に反す

立正大学法学部客員教授 浦野広明

 2020年度予算案の税収額は、19年10月の消費税の増税により、1位消費税(21兆7190億円)、2位所得税(19兆5290億円)、3位法人税(12兆650億円)となりました。

税収より支出増の大盤振る舞い

 予算案の税収は63兆5130億円、国債費を除く支出は79兆3065億円で、支出が税収より15兆7935億円多く赤字です。赤字穴埋めの新規国債発行額は32兆5562億円と税収入の51%を超えます。借金があれば元金と利息の支払い(国債費)が生じます。予算の国債費は23兆3515円と税収の約37%を占めており、とても社会保障費に回す余裕がありません。
 事実、高齢化などに伴う社会保障の増額分が厚生労働省の概算要求に比べ1189億円も減額、年金は年金給付額削減策(マクロ経済スライド)で減少、75歳以上の医療の2割負担導入、介護利用料負担増など、改悪が続きます。
 一方で軍事費は5兆3133億円と過去最大です。
 憲法25条は、社会福祉、社会保障および医療制度の増進について国の努力義務を規定しています。自公政権の下では憲法違反の生存権の侵害政治が進みます。

応能負担原則に反する消費税

 第2次大戦後は所得課税(所得税や法人税)を中心とした税制が40年近く続きました。その後に消費税導入がされ30年間、国民生活は悪化の一途をたどっています。
 憲法に基づく税負担のあり方は応能負担原則(応能原則)です。応能原則は儲(もう)けを対象とする所得課税によって実現します。応能原則は、それを主体的に追求する権利を行使する者のうえに訪れます(つかみとる権利)。負担能力を考えない消費税は国民に苦しみを押し付けるだけです。
 19年7月の参院選前(5月31日)、立憲民主党、国民民主党、社民党、日本共産党、衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」の5野党・会派の党首が、「共通政策」に合意しました。
 税制については「消費税については、10月からの税率引き上げの中止、所得、資産、法人の各分野における総合的な税制の公平化を図る」としました。
 消費税導入から30年を経て野党が力を合わせる画期的な状況が生まれました。悪政を転換することが現実的な課題となっています。

(2020年1月12日号「守る新聞」)

 
   
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