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全世代型社会保障

後期高齢者に冷たい仕打ち

医療費負担増許すな

やるべきは不公平解消

 安倍政権が打ち出した「全世代型社会保障」。国民に負担・痛みを押し付けるものと批判が高まっています。とりわけ懸念されるのが75歳以上の高齢者の医療費窓口負担の2割化です。現状の原則1割負担を、所得がそう多くなくても2割負担にしようとしています。高齢者いじめに他なりません。

 「財源がおぼつかないので社会保障にはあまりお金が回せません。ですから後期高齢者のみなさんにお願いです。年齢を重ねて体が弱くなっても、病気や要介護状態にはならないように予防に努めてください。健康はあくまで自己責任です」―。政府が中間報告で「負担能力に応じたものへと改革」と強調する負担2割化は、このようにも解釈できます。日本医療総合研究所研究研修委員の寺尾正之さんはずばり指摘します。「介護保険制度の悪い部分を、後期高齢者医療制度にも持ってきたもの」
 「健康は自己責任」を全面否定はしません。でも併せてこんな事実も見なくてはなりません。「後期高齢者の6割が3疾病以上の慢性疾患を併存」―。東京都健康長寿医療センターが、都内の対象者131万人のレセプト(診療情報明細書)を分析した調査結果で、昨年2月に公表しました。
 後期高齢者は多くが複数の病気を抱えています。そんな現状に逆行する2割負担化計画。行き着くところは受診抑制との不安が拭えません。全国後期高齢者医療広域連合協議会も一昨年6月、「必要な医療を受けるという観点から現状維持に努めること」との要望書を、厚生労働省に提出しています。

反撃ののろし上がる

 政府がもくろむ後期高齢者医療費負担増。そこで高齢者の収入事情を見てみると、実入りはこれのみという人も少なくない命の綱の公的年金が、大変なことになっています。
 厚労省が発表した20年度支給額は前年度比0・2%増。増額ですが喜んではいられません。支給水準を下げる「マクロ経済スライド」が2年連続で発動され、伸びは物価上昇分に追いつきません。実質はマイナスで、国民年金は満額で6万5141円(133円増)、厚生年金は夫婦2人のモデル世帯で22万724円(458円増)。一体これだけで暮らしていけるのかと、あの「2000万円問題」が改めて突き刺さります。
 医療費の出費は増えても実入りは目減りしているのに、政権の仕打ちはたまりません。2割化に反対する署名運動が取り組まれています。全国生活と健康を守る会連合会も加わる中央社会保障推進協議会と日本高齢期運動連絡会は、今年5月末までに50万筆、9月末までに80万筆の目標を設定。幅広く訴えています。(番匠 寛記者)


2・1高齢者中央集会 シルバー怒る

 「高齢者の悲痛な叫び声から耳をそらすな」―。曜日の関係で今年は1月31日開催となった「2・1高齢者中央集会」。170人が参加し、社会福祉切り捨てを続ける政権に怒りの声を上げました。
 集会後は議員要請。負担増反対を訴えました。


繰り返される負担増

・70〜74歳は原則1割負担から順次2割負担に引き上げる―2014年から

・入院時の食事代の値上げ―2016年4月と18年4月

・70歳以上の患者自己負担上限引き上げ(高額療養費制度)―17年8月と18年8月

・65歳以上で療養病床に入院する患者負担の値上げ―2017年10月と18年4月

・介護保険の利用者負担(現役並み所得相当の個人)を3割負担―2018年8月


生存権侵害はとんでもない

板橋生活と健康を守る会
田村ソメ子さん

 私は今年9月に75歳の誕生日を迎えます。あと7か月ほどで後期高齢者入りしようとする今、政府がとんでもないことをしようとしています。不安というか怒りでいっぱいです。
 心臓病や糖尿病などで医療機関を受診し、7種類の薬を服用している私が1か月に費やす医療費は5000〜6000円ほどになります。78歳の夫も脳梗塞(こうそく)で通院しています。今でも2人分を合わせてもぎりぎりの年金生活を送っているわが家です。医療費が増えるということは、食費など他の生活費を削らなくてはやっていけないということです。生存権侵害は許せません。

(2020年2月16日号「守る新聞」)

 
   
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