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国民健康保険の都道府県化3年目

保険料(税)が高すぎる

国は1兆円超える補助金を

 国民健康保険の運営責任を市町村から都道府県に移す「国保の都道府県化」が2018年度から始まり、3年目を迎えます。6月ごろまでに決まる20年度の国保料(税)について、少なくとも26都道府県内の約8割を占める市区町村で値上げになる危険性が生まれています。国保料(税)が高すぎて払えず、の滞納から短期保険証や資格証明書(資格書)の発行が広がっています。国保を改善せよと運動する大阪・岸和田生活と健康を守る会と熊本県生活と健康を守る会連合会からの報告です。

市も「高いという認識」

大阪・岸和田

 岸和田市では、全世帯の約31%が国民健康保険加入者で、その約16%の世帯が国保料を滞納する事態に追いやられています。国保料は、生活費に大きく食い込むとんでもない金額になっています。
 岸和田市の今年度の国保料を年所得200万円(給与収入では約312万円)の4人世帯(40代の夫婦と未成年の子2人)でみると、年間で41万9700円にもなります。この額は年間で法定軽減(応能割の2割減額)が適用された上でのものです。

約2万円も増

 月17万円に満たない生活費から、月3万4000円もの国保料を強いられています。
 さらに、1月20日に示された来年度予算案をみると、この世帯の国保料は43万9200円(1万9500円の増)としています。
 岸和田市は大阪社会保障推進協議会の保険料の引き下げ要望に対し「大阪府の統一基準となる前の17年度よりも低い水準が保たれており、保険料は広域化の恩恵を受けている」と文書回答。しかし、以前から高いのです。

繰り入れ拒否

 しかも「払える保険料にするため」の一般会計からの法定外繰り入れは「解消するよう国や府から指導されている」として、拒否。保険料の減免についても市独自の施策を全廃しています。
 また、一部負担金の減免制度についても「府内統一基準」に改悪。「府内統一基準」とは「災害と収入の著しい減少」に対応するのみで、この3年間の適用件数はゼロです。
 しかし、昨年11月の予算要求交渉では、「負担の限界」を超えた国保料の実態について市の健康保険課長は「みなさんと同様、高いという認識を持っている」と苦渋の表情で吐露していました。
 「少なくとも協会けんぽ並みの保険料率に改善してほしい」という要求の実現は、国保財源への国庫補助の1兆円を超える大幅な上積みなしには実現しないことは明らかです。交渉の中で私たちは、「加入者、運動体と自治体が一体となり、国に向けて国庫補助の増額を求めていこう」と呼びかけました。(小林十三夫通信員)


対県交渉

資格書発行やめよ

熊本県生連

 熊本県生連は2月5日、県庁交渉を行い、国民健康保険では「『払える保険料』に。18歳以下の均等割の廃止。国保料滞納を理由に資格証明書は発行しないように指導すること。国保の県単位化による保険料は国庫負担の増額を要請して引き下げること」を要求しました。
 これに対し、「財政支援を国に要望している」などの回答がありました。
 熊本県生連は「短期保険証、資格証明書は生活実態を無視するもので、受診抑制につながる。実態をつかんで指導すること」「法定外繰り入れを認めないよう自治体に指導しているのではないか。中止されたい」と要望しました。
 熊本社会保障推進協議会で行う自治体キャラバンアンケートでは、県内45市町村の中で短期保険証1万4480世帯、資格証明書1508世帯となっています。
(右田捷明通信員)

(2020年3月15日号「守る新聞」)

 
   
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