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愛知生活保護基準引き下げ違憲訴訟

自民党政策容認の不当判決

 2013年からの生活保護基準引き下げは生存権を保障する憲法25条に反するとして、生活保護利用者らが国と自治体に対し引き下げ取り消しと賠償を求めている訴訟で、全国初の判決が6月25日、名古屋地方裁判所で言い渡されました。判決は原告の請求を棄却する「不当判決」でした。(齊藤 豊)

 「不当判決」「不当判決、許さないぞ」―。原告の請求を全面的に棄却する判決を受け、裁判所内外では原告、支援者らから怒号が飛び交い、無念さやくやしさから涙する人々の姿もありました。
 裁判後の報告集会では、初めに内河惠一弁護団長が「なんら得るものがない、心を打つものがない判決だ。政治家や国がやった権利侵害や間違いをチェックするはずの司法が、その仕事を忘れている」と厳しく批判。「(今後については)控訴審、最高裁まで闘い続け、最後には勝つ運動を展開していきたい」と述べました。
 その後、森弘典、小久保哲郎両弁護士から判決内容の説明と評価がありました。両弁護士は「今回の判決は被告の裁量をかなり広く認めてしまい、予想される中でも最悪で、全く評価できない」「被告である国の主張を丸のみで、専門家の意見を尊重しなくてもよいという見解」「判決文で『国の財政事情や“国民感情”を考慮した』ことや、自民党政権の選挙公約のことにまで触れている。生活保護制度など法律や憲法は(“国民感情”などの)抽象的なものや政治的影響を受けてはいけないものだが、それを裁判所が認めてしまっている」などと批判しました。
 原告の女性は「本当にくやしい。保護費引き下げにより食費などの費用を減らさざるを得なくなっており、そのために持病がひどくなる。政府は私が死んでいくのを待っているようだ」と判決に対し強く抗議しました。


【声 明】

不当判決に抗議

2020年6月25日
全国生活と健康を守る会連合会
会長代行 吉田松雄

 2013年から国が実施した生活保護基準の大幅引き下げは、「健康で文化的な生活」を保障した憲法25条に反する、として全国29都道府県の1000人余りの原告が取り消しを求めた「生存権裁判」で、6月25日に名古屋地方裁判所は、原告の訴えを退けました。原告や生活保護利用者の生活に目を背け、国の主張に追従した不当判決であり、強い憤りをもって抗議します。
 基準引き下げは、安倍・自民党の選挙公約を実行するために「物価下落」「ゆがみ調整」のデータ偽装をし、審議会に諮問(しもん)すらせず、しかも保護利用者の声を聴かずに強行されました。判決は国の違法な手続きを容認しました。しかも、自民党の政策は、財政、国民感情を考慮したものだとして、基準決定時に政権公約は考慮されてもよいとさえ述べています。
 全生連は、04年の老齢加算減額廃止以来、13年、18年と連続して強行された保護基準引き下げに対し、全国で1万人の審査請求運動をおこし、裁判を支援し、共同行動を広げてきました。
 コロナ感染は、低所得者ほど犠牲者が多数となり、日本の社会保障が脆弱(ぜいじゃく)なことを浮き彫りにしました。生活保護利用者は、食費、入浴、衣料費、交際費の支出を減らし、「生きるのがやっと」の生活を強いられています。10月の保護基準引き下げを中止し、速やかに引き下げ前に戻すことを求めます。
 今後の地裁判決で勝利するために、さらにたたかいを発展させるものです。

(2020年7月5日号「守る新聞」)

 
   
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