自民党の政権公約優先の名古屋判決
怒り新たに闘おう
院内集会
愛知生活保護基準引き下げ違憲訴訟の不当判決が出された翌日、6・26緊急院内集会が衆院第1議員会館で開かれました。いのちのとりで裁判全国アクション主催で、会場には120人、ネットでの参加を含め二百数十人でした。全国生活と健康を守る会連合会からは、愛知県をはじめ、新潟、長野と首都圏で50人以上が会場に集まりました。(前田美津恵)
いのちのとりで裁判全国アクションの共同代表である、作家の雨宮処凛(あまみやかりん)さんとつくろい東京ファンド代表理事の稲葉剛さんが司会を務めました。
開会あいさつに立った共同代表の尾藤廣喜弁護士は、「判決を読めば読むほど怒りがわく。生活保護法8条2項に保護基準について定めているが、判決は守らなくていいとしている。生活保護基準部会の内容も聞かなくていいとしている。最大の問題点は自民党の政策が影響を与えたことを認めた上で、政策や国の財政、国民感情に基づいて基準を決めてもいいとした。怒りに震えた。しかし、闘いは始まったばかり。28地裁で闘っている。問題点を共有し、団結して闘う意思を固めあおう」と述べました。
政治的意図に基づく
基調報告を愛知弁護団事務局長の森弘典さんが行いました。開口一番、「ひどい判決でした。こんな判決を許してはいけない。怒りを強くしてみなさんと闘っていきたい」と述べ、判決について次のように指摘しました。
デフレ調整やゆがみ調整についてもこちらの主張を認めながら、「しかしながら」と前置きして「厚生労働大臣の裁量に委ねられている」と容認しています。
最もひどいのは、政治的意図に基づく生活保護基準の改定だということです。判決には「生活保護の1割引き下げは自民党が政権公約として打ち出した」と記述。そして「もっとも、…自民党の政策の影響を受けていた可能性を否定することはできない。しかしながら、…生活保護費の削減などを内容とする自民党の政策は、国民感情や国の財政事情を踏まえたものであって、厚生労働大臣が、生活扶助基準を改定するに当たり、これらの事情を考慮することができることは…明らかである」(判決118〜119ページ)と容認。
「私たちは闘い続ける。今度は人権無視の判決は出させない」と決意を表明しました。
ショックだが前へ
名古屋判決を受けて、愛知県の原告、安藤美代子さん(68)の「判決は10分で終わった。とてもショックだが、前に進んでいきたい」との発言に大きな拍手が起こりました。
インターネットで大阪、北海道、福岡などの原告から「悔しい。地元の裁判で勝つ」と発言が続きました。
中央社会保障推進協議会事務局長の山口一秀さんが「判決は安倍政治そのもの。『社会保障は国の責任で』の運動の決意を新たにした」と連帯あいさつ。共同代表で金沢大学名誉教授の井上英夫さんは、「国は人権保障のためにある。ところが、生活保護基準は理論でなく国民感情だとした。朝日訴訟の朝日茂さん・健二さんは“権利は闘う者の手にある”と闘ってきた。もっともっと怒りをぶつけよう」と呼びかけ、閉会しました。
(2020年7月12日号「守る新聞」) |