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東日本大震災・津波、あれから10年

今年も元気にエール交換

岩手 釜石・大槌生活健康を守る会 吉里吉里班

 2011年3月11日の東日本大震災から10年目となる今年。被災地の生活と健康を守る会はどのように活動し、会員の暮らしはどうなっているのでしょうか。手を差し伸べ合い、苦労を分かち合い、暮らしを守る活動を脈々と続ける現地からの通信です。

紫波町の支援大根今年も届いたよ!

 2020年11月9日、紫波(しわ)生活と健康を守る会の事務局長・館野拓さんは、会員の山本勝広さんたちが育てた大根を軽トラックに積み込み、140キロメートル離れた大槌町へ。吉里吉里(きりきり)班班長の中村光(みつ)さん(80)宅に到着すると、9人の班員がマスク笑顔で迎えます。
 「みずみずしい!」「今年もありがとう」「カボチャはシカにやられて全滅だ」
 積み下ろし作業中に会話が弾みます。
 この日届いた大根は200本。9年来、カボチャ、大根、ジャガイモなどを届けてくれています。それに今日は紫波町特産のリンゴ一箱が付きました。
 お返しにと、吉里吉里班からは地元のお菓子、ワカメ、塩カマスがプレゼントされました。

あと10年、元気に生きようネ

 エール交換後、光さん宅に上がりお茶会を開始。班員の多くは70歳代後半、最高齢は90歳。同行した岩手県生活と健康を守る会連合会事務局長の川口義治さんが、「この中で通院している人」と聞くと全員が手を上げました。
 釜石・大槌生活と健康を守る会会長の阿部祐吉さんが、「災害公営住宅の家賃があと2年もすると値上げになってしまいます。来年も医療費、介護利用料の無料継続を求める署名運動に生健会も取り組んでいます」と話します。
 マドロス踊りの演技者で町内の有名人、一兜(いちかぶと)三郎さん(81)は、「老人会の行事にいつも呼ばれていたのが、コロナでさっぱり」と嘆きます。
 三浦秀子さん(77)は、「災害公営住宅の住人と地元町内会の人たちとの橋渡し役が私の仕事」と意気軒高。「被災して10年、今思うことは?」の問いかけに、「あと10年は元気でいたい」と口をそろえます。

被災者の医療費免除期間が延長に

 岩手県の達増(たっそ)拓也知事は20年11月16日、「被災者の医療費免除は21年3月まで継続、4月〜12月は住民税非課税世帯(被災者の56%)を対象に継続する」と明言。連帯のエールとなっています。(川口義治通信員)


福島第一原発事故から10年

全面回復には程遠い

私たちが何かしたのですか!?

福島 飯舘生活と健康を守る会 佐藤みつ子(71)

 原発事故の発生から間もなく10年がたとうとしていますが、被害全面回復には程遠いというのが現実です。
 原発事故により、住み慣れた故郷には放射性物質が降散し、除染も十分に行われず、避難解除された後も地域社会と自然環境は元のようにはなりません。過酷な避難生活を強いられ、故郷を離れて新しい所(村外)での生活を始めましたが…
――いつも空を見て、いつも見ていた周りの風景、いつも一緒にいた家族、いつも学校へ通学していた孫たちの姿――
 当たり前のように普通の生活が奪われて、何もよりどころなく過ごす生活です。
 私の60歳からの10年間、飯舘村の澄んだ空気、家族、親子、そして親から受け継いだ商店営業の中で地域の人たちに支えられ築き上げてきた全てのものが一変する出来事が起きたのです。
 言葉では言い表すことのできないほど、身体的・精神的なストレスとなり、現在も時々病院に通院しています。同じ境遇にあった人でないと理解できないかもしれませんが、環境の変化に合わせて少しずつ変わっていかなければと、いつも思っています。
 私は訴えます。
「私たちが何かしたのですか!?」
「原発はいらない!」
「再稼働やめて」
 なぜ今も原発に依存するのでしょうか。
 東日本大震災後の電力需要、間に合ったのではないですか?
 原発事故被害のあの現状を、みなさん忘れたのですか?
 人間が処理不可能な放射性物質・原子力発電からは何も良いものは生まれません。苦しみ、悲しみ、怒り…私たちのこの気持ちを忘れないでほしい。
 10年目を迎えますが、故郷は汚されたまま、生活復旧・再生はこれからです。真実・実態を学び、共に仲間として頑張りましょう。


誰ひとり取り残すな 国と東電の責任問う

 2011年3月11日、東北・関東の8県で震度6以上を記録した東日本大震災は、死者1万9729人(災害関連死含む)、行方不明者2559人、住家被害(全壊)12万1996戸(いずれも20年3月1日現在)という甚大な被害をもたらしました。
 地震・津波の被害に加え、福島では人災ともいえる原子力発電所事故が発生。10年が過ぎようとする今も、苦しめられている被害者がいます。
 原発事故のあった福島県から他県への避難者は、現在もなお2万9359人、県内への避難者数は7439人に上ります(20年11月時点)。放射線による健康被害への懸念から若い人たちは戻らず、家族が分離させられるなど、住み慣れた愛する故郷で家族が一緒に暮らす、普通の暮らしが破壊されました。
 20年11月19日に全国生活と健康を守る会連合会が行った21年度予算要求中央行動では、福島県飯舘村からの参加者が「被害者の願いは、元通りにしてほしいということだ。誰ひとり取り残されることなく、全ての住民が元のように暮らせるよう戻してほしい」と追及。国および東京電力の責任が問われています。

(2020年12月27日・2021年1月3日合併号「守る新聞」)

 
   
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