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歴史的勝訴!

生活保護基準引き下げ違憲訴訟・大阪

 大阪地方裁判所(森鍵一(もりかぎはじめ)裁判長)は2月22日、2013年からの生活保護基準引き下げ処分を違法とする判決を言い渡しました。原告らには昨年6月の名古屋地裁での不当判決を覆す歴史的勝訴です。以下は、判決を受けての全大阪生活と健康を守る会連合会(大口耕吉郎会長)の声明文です。

 2月22日、大阪地方裁判所は、国家賠償請求は棄却しましたが、生活保護基準の引き下げは違法であると、原告である生活保護利用者の訴えを認める画期的な判決を言い渡しました。生活保護基準の裁判で地裁段階で勝利したのは1960年の朝日訴訟以来です。この判決に原告の人たちは「涙が止まらなかった」「今の苦しい実態を分かってもらえた」と喜びました。あらためてみなさんのご支援に心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

裁量権の逸脱・乱用
基準引き下げは違法

 安倍内閣(当時)は2013年から2015年にかけて生活保護基準の引き下げを強行し、全国で1000人を超える人が「引き下げは憲法違反だ」と国と自治体を提訴しました。大阪では42人の生活保護利用者が闘ってきました。
 大阪地方裁判所の判決文は、厚生労働省が保護基準の引き下げの根拠にした生活扶助相当CPI(生活保護利用者の消費者物価指数)が、「統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性を欠いており〔略〕判断の過程及び手続に過誤、欠落があり、裁量権の範囲の逸脱又はその乱用がある」「(生活保護)法3条(※)、8条2項(※)の規定に違反し、違法である」と引き下げを取り消す画期的な判断をしました。
 厚生労働省の生活扶助相当CPIは生活保護世帯の実態を無視したものです。第一に物価が最も上がった2008年と最も下がった2011年を比較し、第二にその期間に大幅な下落をしたテレビ、ビデオレコーダー、パソコンなどを生活保護利用者が、あたかも一般家庭と同様に購入した前提で計算したものです。これは当時の自民党政権の「生活保護基準を引き下げる」選挙公約を忖度(そんたく)した物価偽装の計算方式にほかなりません。

原告・弁護団一体の裁判
「支える会」も奮闘

 今回の判決は、原告のみなさんが裁判闘争の先頭に立ち、法廷で厳しい暮らしの実態を訴えたその勇気ある行動があったからこそ勝ちえた判決です。同時に弁護団は、こうした原告のみなさんの思いを受け止め、弁護団が一体となって法廷に臨みました。
 さらに弁護団は裁判の中で、生活扶助相当CPIがいかに非科学的であり、生活保護利用者の暮らしを踏みにじるものであるかを、パワーポイントなどを駆使して明らかにしました。
 こうした活動とともに、大生連も加盟する「生活保護基準引き下げ違憲訴訟を支える大阪の会」は、毎月の事務局会議、毎年の総会を行って、(1)裁判の本質は何か、(2)裁判勝利のために何をしなければならないかを明らかにし、街頭宣伝やビラ配布、他団体への要請を繰り返し行いました。
 特に昨年12月24日の結審の後は、裁判所前で早朝宣伝や駅頭での宣伝とビラ配布を繰り返し行い、これと並行して「公正な判決を求める署名」にも取り組み、約1万筆を集めました。これらの活動でも、原告団と弁護団は先頭に立って頑張りました。

国は控訴断念せよ
全国から要請を

 裁判は勝利しましたが、闘いはこれで終わりではありません。さらに続きます。当面やらなければならないのは、今回の判決に対し「控訴しないよう」厚生労働大臣に求めるFAXを送ることです。ご協力をお願いします。
 全大阪生活と健康を守る会連合会は支援する会の一員として、原告団・弁護団のみなさんとともに闘っていく所存です。これからもご支援をよろしくお願いします。
 ※生活保護法第3条「この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない」
 ※8条2項「生活保護基準は最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって、かつ、これを越えないものでなければならない」

(2021年3月7日号「守る新聞」)

 
   
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