コロナ特例貸付8月まで延長
最大30万円の支援金を新設
全生連厚労省交渉
全国生活と健康を守る会連合会は5月31日、緊急小口資金と総合支援資金のコロナ特例貸付について、厚生労働省交渉をオンラインで行いました(27か所)。交渉の場でコロナ特例貸付の8月までの延長や制度利用後に新たな自立支援金を実施することを表明。しかし、各県により対応が異なり生存権侵害になっている実態には満足な回答が得られず、各地での闘いが引き続き求められることが明らかになりました。(前田美津恵記者)
不承認で「心折れた」
自殺者出る深刻な実態
特例貸付の期間延長要求には「6月末までを8月末までにする」と回答。「緊急小口資金、総合支援資金の再貸付、再々貸付を行うこと」の要求には、「債務が過大になるので慎重な検討が必要」とすると同時に、「1か月最大10万円を3か月支給する新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金」を検討中と回答しました(※)。
「償還時に住民税非課税の世帯については償還免除できることを周知徹底すること」の要求には、「詳細については全国社会福祉協議会(全社協)と協議して進める。決まり次第、通知を出して周知する」としました。
福島県の弦弓高明さんは「1歳と4歳の子どもを持つシングルマザーは、特別定額給付金やひとり親世帯臨時給付金もすぐになくなったが、緊急小口資金、総合支援資金を申請して受給できた」と、貸付金を利用でき本当に助かったと話しました。そして、数多くの相談が寄せられていることから、特例貸付の再延長を求めました。
三重県の後藤照生さんは「雇止めにあったシングルマザー4人が再度の申請をしたが、3人が不承認になった。申請ではプライベートなことを根掘り葉掘り聞かれたのに不承認になり、『心が折れた』と言っている。不承認の通知を受けた後に自殺したシングルマザーがいた」と深刻な実態を訴えました。
「残業代減収」では却下
県ごとの格差改善を
千葉県の野秀純さんは君津市に住む若者の事例を紹介しました。コロナ感染により残業がなくなりアパート更新料、離婚した子どもの養育費を払うと生活費がなくなるので、本人が厚労省に電話で聞いたら「利用できる」との回答でした。しかし、県は「残業代がないくらいでは貸せない」と却下。
野さんは「この制度は何のためにあるのか。コロナ禍で生活に困窮したときにどうすればこの制度は使えるのか。なぜ却下されたか分からないことが致命的。不承認の場合は理由を開示しないという条件を外してほしい。本人だけでなく、養育されている子どもの命の問題にも関わる」と述べました。
徳島県の竹田節夫さんは、「都道府県の中で決定率が低い状況が続いている。総合支援資金の延長、再貸付が不承認になるケース、承認されても減額になるケースが3、4月以降に増えている」と訴えました。
不承認になった8件が、厚労省から県へ電話を入れてもらったら承認された事例、延長の総合支援資金が3回とも不承認となりあきらめた事例、申請4回目で承認された事例など、8人の事例をあげ改善を求めました。
※新型コロナ自立支援金について
厚生労働省社会・援護局は6月4日付で各都道府県の生活保護担当課などに「新型コロナウイル感染症生活困窮者自立支援金」(仮称)に係る支給要領(案)を送付しました。支給額は1月ごとに、単身世帯6万円、2人世帯8万円、3人以上世帯10万円で、支給は3か月、申請期限は8月31日とする、となっています。
(2021年6月20日号「守る新聞」) |