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一刻も早く被爆者として認めて!!

闘いはこれから 被爆者手帳支援、力強く

黒い雨

 広島への原爆投下後、放射性物質を含む「黒い雨」を浴びた住民ら84人全員を被爆者と認め、被爆者健康手帳の交付を命じた広島高裁判決が、国の上告断念により確定しました。判決は地裁判決を補強し、原爆がもたらした被害を広く認定し被爆者援護行政の見直しを国に迫った画期的な内容です。その後、「黒い雨」訴訟弁護団などは判決内容の実現のため、原告以外の被爆者援護の対象外とされてきた人に向け、被爆者健康手帳の申請を助言する相談会を各地で開催しました。

4歳で被爆 80歳の再申請

 相談会には、コロナ禍の中、来場を制限する中でも9月18日に28人(安芸太田町)、19日46人(広島弁護士会館)、20日〜22日約60人(佐伯区)が訪れました。
 弁護団、原爆「黒い雨」訴訟を支援する会、広島県原爆被害者団体協議会(佐久間邦彦理事長)、医療ソーシャルワーカーなどが一人ひとりに手帳申請の書き方などをサポートしました。
 相談員として参加した広島市中区生活と健康を守る会の三村正弘事務局長は、北広島町と広島市東区に居住する姉妹の書類作成を支援しました。二人は、旧日浦(ひうら)村で母の救護活動に連れられて被爆。これまで救護被爆で数回手帳申請するも却下され続けました。
 姉は当時4歳で、原爆が投下された後の行動や黒い雨にあったことを詳細に証言。三村事務局長はそれを基本に二人の手帳申請書の作成を支援しました。
 二人は健康管理手当の診断書持って、10月11日の集団申請に参加することとなりました。

新しい指針を示さない厚労省

 「黒い雨」訴訟で原告84人全員を被爆者として認め、菅前首相が原告以外の救済も早急に検討するとの談話を出してから2か月がたちますが、被爆者健康手帳を交付する指針の見直しに向けた動きがありません。
 現在、被爆者団体や県、市には700件以上の問い合わせが殺到しています。新聞報道によりますと、8月末までに2回、広島県と広島市、厚生労働省の担当者がオンラインで協議しましたが、従来の指針や負傷者の救護などに当たった人の被爆者認定で指針が見直された過去のケースを確認しただけでした。
 9月14日には、県と市が連名で田村憲久厚生労働大臣(当時)あてに要望書を提出し、遅くとも2022年4月に県や市が被爆者健康手帳を交付するように求めました。しかし、その後開かれた2回の協議でも新しい指針の原案は示されず、広島高裁判決の確認にとどまったそうです。こうした国の対応に、県と市には不信感がくすぶっています。
 手帳交付が決定した場合、医療費自己負担分の免除や健康管理手当支給が、申請日までさかのぼって適用されます。そのため私たちは10月11日を集団申請の日と決めて進めてきました。
 当日には予想を大幅に上回る219人が申請。広島市中区の会場には97人と申請の代理人たちが訪れました。
 県は救護対象区域外で黒い雨を浴びるなどした人は、原告と亡くなった人を除いて1万3000人と推計しています。原告であり佐伯区生活と健康を守る会の高東征二さんは「一人でも多くの人に申請してもらいたい」と地域で奮闘しています。
(三村正弘さん)

(2021年10月24日号「守る新聞」)

 
   
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