灯油高騰“温かな正月”を
新潟県・市に「福祉灯油」求める
世界的な原油の高騰により、日本でもガソリン、灯油の値上がりの他、食料品などにも影響が出ています。冬を目前にして灯油の値上がりは切実で、各地で灯油購入に行政の助成を求める声が高まっています。「要援護世帯に温かな正月を」と取り組む新潟県からの報告です。
前年度比18%上昇
保護世帯へ2500円
新潟県生活と健康を守る会連合会は11月5日、障害者の生活と権利を守る新潟県連絡協議会、県視覚障害者友好協議会の3団体11人の参加で、新潟県に高齢者、障害者、ひとり親、生活保護世帯などの要援護世帯に、「福祉灯油」(暖房費)助成を求めました。遠藤玲子県議(日本共産党)が立ち会いました。
また新潟生活と健康を守る会は8日、新潟市に「福祉灯油」を求めて要請し、北区守る会の会員も含め、9人が参加しました。
県は灯油の価格が前年度より18%以上上昇した場合に限り、生活保護世帯への灯油費助成を行う市町村に対して、1世帯あたり2500円を補助する制度を設けています。県福祉保健総務課は「条件を満たせば、速やかに灯油購入費の助成を行いたい」と話しました。また、生活保護世帯以外の要援護世帯への県の支給制度はありません。
暖房は欠かせない
節約も もう限界
経済産業省によると、昨冬は1リットル当たり80円台だった県内の灯油店頭価格は、今年11月8日には平均108円となり、約25%の上昇。2014年以来の高値になっています。
対県・対市交渉では、各団体の代表や出席した会員から、切実な要望が次々と出されました。
「障害があり在宅時間が長いので、暖房をつける時間が長くなる。体を動かせないので暖房は欠かせない」
「鍼灸院を営んでいるがコロナの影響で売り上げが減った。お客さんを迎えるため部屋を温めておかなければならないし、視覚障害があり、気温が下がると指先の感覚が鈍り、物の識別(点字本での読書)などに困るので暖房は欠かせない」
「ずっと灯油代を節約してきて、冬季加算で日用品の買い替えなどやりくりをしてきたが、年をとり暖房がないと体を動かすのもしんどい。灯油代の節約も難しくなってきた」
「昨年から生活保護を利用しているが、エアコンは旧式のため電気代がかかる。ガスストーブは故障した。重ね着などで暖房を使わず、ひと冬を越した」
助成実施自治体も
低所得の子育て世帯など
県によると、この冬には県内3分の2のおよそ20の自治体が制度の利用を検討しているということです。下越地域の新発田市では11月5日、市内の低所得者ら約7000世帯を対象に、灯油購入費として1世帯当たり5000円を助成すると発表しました。対象は生活保護世帯や生活困窮世帯、住民税非課税の高齢者世帯、低所得の子育て世帯などで、予算は約3800万円とのことです。
新潟市は政令市のため、県の助成の対象外ですが、「他の自治体の動向を見て、情報収集をしている。県や国と意見交換をしたい」としました。
(倉島智恵子通信員)
(2021年11月21日号「守る新聞」) |