実態突きつけ要求実現へ一歩前進
2022年度予算要求全生連中央行動(1月18〜20日)
全国生活と健康を守る会連合会(全生連)は1月18日から20日、2022年度予算要求中央行動を衆議院議員会館で6班に分かれて行いました。参加者は、16都道府県連、延べ154人になりました。(前田美津恵)
1日目の冒頭、三浦誠一副会長がリモートで開会あいさつ。倉林明子参議院議員(日本共産党)が駆けつけ、「3日間の奮闘を期待している」と激励のあいさつを述べました。
冬季加算すぐ増に
島村政務官に要請
1日目は、貸付金・児童扶養手当・障害者の要求で交渉。また、高官要請を行いました。対応者は厚生労働大臣政務官の島村大(だい)参議院議員。重点要求として(1)灯油価格の高騰に対応して生活保護冬季加算を速やかに増額すること、(2)生活保護を気兼ねなく申請できるようチラシやポスターを作成し周知すること、扶養の強要は行わないこと、必要な人には自動車を日常生活用品として認めること、(3)後期高齢者医療の一部負担2倍化を行わないこと、を要求。
島村政務官は「全生連が国民目線で活動していることに感謝申し上げる」と冒頭に述べたあと、次のように回答しました。
(1)については確かに上がっているが物価は変動する。もう少し長期的に見て、冬季加算だけでなく全体的な基準を見させてほしい。(2)自動車が必要との気持ちは分かるが、生活保護は最後のセーフティーネットの制度。理解していただきたい。(3)一定の所得のある人に負担いただくもので、受診抑制が起こらない範囲。全てが2割になるわけではない。
回答に対し次々と実態が訴えられました。
北海道の細川久美子さんは「灯油が値上がりし、育ち盛りの子どもがいる家庭では食費を削れないので、室温を20度程度に抑えている」。
千葉県の野秀純さんは「バスが1日2本しかない、バス停まで歩いて40分かかる地域がある。自動車は必需品です」。
埼玉県の笹井敏子さんは「生活保護の申請に13枚もの書類を書かせ、3〜4時間もかけている実態がある」。
神奈川県の市木眞二さんは「先進国の社会保障費はGDP(国内総生産)の6%あるのに比べ、日本は0・6%にすぎない」と訴えました。
国保の一部負担減免
恒常的低所得対象に
2日目の生活保護の交渉では、暴力や虐待を受けたことがある場合など8つの事例を挙げて、扶養照会は不要ではとの要求に、「8事例(※)は省略できる可能性がある」と回答しました。
2日目の災害の交渉では、静岡県生連の紹介を受けて熱海市から、違法残土埋め立てによる土石流災害の被災者ら3人が参加しました。「民宿を経営する予定で家を買ったが1週間後に流された。住民票を移す前だったので、り災証明を現地で発行してもらえなかった」と発言。内閣府の担当者から「出せます」との回答を得ることができました。
3日目の国民健康保険の交渉では、医療費一部負担の減免対象者に「収入の減だけでなく『恒常的低所得者』も対象になる」と、従来の回答を確認することができました。
〈※8つの事例〉
ア、暴力や虐待を受けたことがある。イ、この親族に扶養を求めることが明らかに当人にとって有害である。ウ、長期入院患者である。エ、70歳以上の高齢者である。オ、この親族にお金を借りている。カ、縁が切れて、著しく関係が悪い。キ、一定期間、連続して音信不通である。ク、明らかに援助してもらえない事情がある。
(2022年2月6日号「守る新聞」) |