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被告の主張うのみにした不当判決

秋田 人間らしく生きる裁判

 国が2013〜15年に生活保護基準額を引き下げたのは憲法や生活保護法に違反するとして秋田県内の生活保護利用者ら41人が県と秋田市など4市に引き下げ取り消しを求めた訴訟で、秋田地裁は3月7日、原告の請求を棄却する不当判決を言い渡しました。全国では20年6月の愛知での不当判決、21年2月の大阪での原告勝利判決、その後は北海道、福岡、京都、石川、兵庫と不当判決が続き、今回が8件目です。秋田県生活と健康を守る会連合会の高橋京子事務局長からの報告です。

足掛け9年の闘い

10秒弱の言い渡し

 2013年8月の生活保護基準引き下げから審査請求・再審査請求を経て、15年5月22日に秋田地方裁判所に「保護基準の引き下げの取り消し」を求めてから足掛け9年闘ってきた秋田「人間らしく生きる裁判」は、3月7日午後2時に秋田地裁で判決を迎えました。
 前日の吹雪で心配された天候も当日は薄曇り。午後1時30分には、約50人の「支える会」の仲間たちが秋田市文化会館から裁判所に向かって行進し、20人程度の報道陣が駆けつけました。
 秋田地方裁判所は、老朽化による建て替え中で、現在はプレハブの裁判所です。一番広い101号法廷でも、傍聴者は11人と制限されました。
 法廷内では、テレビ撮影が行われた後、裁判長が「原告たちの請求を棄却する」と主文だけを読み上げて閉廷。10秒もかからない言い渡しに、あっ気にとられ、追い出されるように裁判所を後にしました。

何も伝わっていない

他の判決と同じ論理

 その後、全国とオンラインでつながれた報告集会が行われ、マスコミを含め70人を超える支援者が参加しました。
 櫻田雄美(ゆきみ)原告団長は「苦しい思いを伝えてきたつもりでいたが、何も伝わっていない。残念でならない」と語りました。
 弁護団の虻川(あぶかわ)高範弁護士からは「ことごとく原告らの主張を否定する。被告側の主張をうのみにした形で判断している。生活保護利用者が引き下げによってどれだけ不利益を受けているかの証言については触れていない。原告らの請求を認めなかった他の判決とほぼ同じ論理で主張を退けている」と説明がありました。
 狩野節子弁護士は「本当に残念。消費者物価下落の統計で、一般の人は2・35%の下落、生活保護世帯は4・78%の下落とする厚生労働省独自の統計を使ったことに裁判所は目を向けていない。裁判したからにはやはり勝利したい」と意図的に作り出された統計問題についての思いを話しました。
 「支える会」の越後屋建一会長(県労連議長)からは「生活保護基準は自らの問題として参加している。生活保護利用者の健康で文化的な生活が保障されるまで頑張り続けたい」と話がありました。
 また、元中日新聞記者の白井康彦さん、いのちのとりで裁判全国アクション運営委員の末吉俊一さんは秋田に駆けつけ、オンラインで参加の愛知、大阪、京都から「逆転勝訴できるよう頑張ろう」の呼びかけがありました。

(2022年3月20日号「守る新聞」)

 
   
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