生活保護利用者の車の日常利用が
可能に
札幌市が車保有者の日常生活利用を容認
生活保護利用者の車の保有・使用には、いまだに高いハードルがあります。全国生活と健康を守る会連合会(全生連)や生活と健康を守る会でも改善を求めてきました。北海道生活と健康を守る会連合会(道生連)は札幌市と文書での交渉を続け、車の日常生活の使用を容認する回答を引き出しました。
2022年度予算に対する道生連の要求に対する札幌市の回答
(道生連の要望)
車の保有を認めたが、使用を認めないという指導指示はやめること(※要望は簡素化してあります)
(札幌市の回答)
(略)障害等を理由に自動車の保有を認められた場合は、保有する自動車を日常生活で利用することは、被保護者の自立助長、保有する資産の活用の観点から認められるものと考えております。(略) |
車の暮らしでの
活用を容認
札幌市は、生活保護利用者で、車の保有を認められた場合は、車を日常生活で利用することを容認しました。全国的にも初めてと思われる画期的な回答です。
現在、生活保護利用者が自動車保有を認められていても、保有を容認された目的(通勤、通院、通所、通学)以外に使用することは容認されていません。寄り道をして「買い物」をすることも禁止されています。
また、通勤以外に使ってない証明のためにメーターチェックなどが普通に行われています。これを根本から改革したものです。
資産の活用と
自立助長になる
札幌市は、今回、改革した理由として、2つを挙げています。1つ目は、保有している車を使用することこそ、生活保護法第4条1項の「資産の活用」に当たること、2つ目は、暮らしでの活用は、生活保護利用者の「自立の助長」につながるということです。これは理にかなった、法に忠実な解釈です。
餓死事件での
闘いなどの奮闘で
どうして、札幌市はこうした解釈をすることになったのでしょうか。
札幌市は、全国でも珍しい二度の餓死事件を起こした所です。1987年と2012年の2回です。
道生連は、このことに対して厳しく対峙(たいじ)し、今では当たり前となった「申請の意思の確認」を交渉で確認してきました。
札幌市は昨年、全国で初めて「生活保護の申請は国民の権利です」のポスターを作成しました。市の回答は、道生連のこれら長年の運動の成果と思われます。
全国的に
活用をしよう
今回の札幌市の車の日常生活での利用に対する考え方は、札幌市に通用するだけではなく、全国に通用するものです。全国で活用しましょう。
(三浦誠一通信員)
(2022年4月17日号「守る新聞」) |