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車使用を制限する根拠を示せ!

生活保護の車保有問題で厚労省へ申し入れ

 北海道札幌市は、車の保有を認められた生活保護利用者の車の日常生活使用を容認する回答を出しました(本紙4月17日号1面で掲載)。このことを知った厚生労働省から5月10日に注意喚起という事務連絡が出された後、札幌市は回答を事実上撤回しました。全国生活と健康を守る会連合会(全生連)、北海道生活と健康を守る会連合会(道生連)、生活保護問題対策全国会議、きょうされんなどは6月9日、札幌市が回答を撤回したのは厚労省の圧力があったこと、事務連絡で説明している根拠が論理的ではないことなどを理由に、厚労省へ事務連絡の撤回を申し入れました。(永久俊満)

明確な根拠示せずも
今後も認められない

 厚労省への申し入れには全生連、道生連からの6人を含めた11人が参加、厚労省から保護課の丸谷裕課長補佐、左向祐太保護係長、坂野泰之監査官の3人が出席しました。
 初めに、花園大学の吉永純教授が要望書を手渡し、要望の趣旨を説明しました。
 続いて、道生連の細川久美子副会長が実態を交えながら、十数年かかって札幌市から「車保有が認められた人が日常生活で使用するのは、その人の自立助長につながる」との回答を得たことなどのこれまでの経過を説明しました。
 続いて、太田伸二弁護士が事務連絡の問題点を指摘しました。
 体調不良のために参加ができなくなった当事者の代わりに、細川副会長が不安障害を持つ千葉県の母子世帯での車利用の切実な実態を訴えました。
 厚労省は、「事務連絡でこれまでの見解を変えてはいない。これまでの車保有の制限を説明し、今回も引き続き認められるものではないことを説明した」とし、事務連絡を発出した経緯について、「札幌市の話を報道で見た自治体から照会が来たので、変わらないことを示した」と回答しました。また札幌市への圧力については、保護課からの事情聴取の中で札幌市自身が回答を変えただけとの見解でした。
 全生連の吉田松雄会長は、「車の保有の制限が最低限度の生活を奪っている」と訴え、「注意喚起の事務連絡での使用制限の根拠は何か」と問いました。
 厚労省は大臣の答弁通りとの回答に終始し、参加者から「大臣の答弁は、根拠を話していないので、根拠を教えてほしい」との訴えに対しても、大臣の答弁通りと回答し、明確な根拠を示せませんでした。
 厚労省への申し入れ終了後、全生連は独自の要望書を丸谷課長補佐に手渡しました。

人と関われる場所へ
行くために使いたい

 その後、行われた記者会見では、申し入れの内容と厚労省の回答、札幌市が出した車の日常生活利用容認の回答の評価について説明し、申し入れでも訴えた千葉県の実態を報告しました。
 また、申し入れには参加できなかった三重県の当事者と電話をつなぎ、実態を直接話してもらいました。
 難病指定されている下垂体前葉機能低下症を患う息子と暮らす母親から、息子の通院のために車が必要なこと、そのたびに運行記録票を付けなければいけない屈辱、車がないとどこへも行けず身動きが取れない実態が話されました。
 そして、「日常生活に車が使えたら何に使いたいですか」との記者からの質問に、「人との関わりが持てる所へ行きたい、そういうことに使いたい」と答えました。
 太田弁護士は「厚労省は車の使用制限の根拠を示せなかったので、札幌市にはもうひと踏ん張りしてほしい」と訴えました。

(2022年6月26日号「守る新聞」)

 
   
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