外国人の命と暮らしも守れる国に
全国生活保護裁判連絡会第28回総会交流会in千葉・プレ集会
生活保護利用者の権利実現のために活動している全国生活保護裁判連絡会は7月2日、10月30日に行われる第28回総会交流会in千葉に向けてのプレ集会を千葉県弁護士会館で開催しました。コロナ禍による貧困の拡大やロシアのウクライナ侵略などによる物価の高騰、技能実習生など外国人の貧困の広がりなど、最後のセーフティーネットである生活保護制度の役割発揮が求められている中で、外国人と生活保護の問題、各福祉事務所が作る「生活保護のしおり」の千葉県内の状況について学び交流しました。(永久俊満)
日本で暮らす限り
生活の存続を
集会には会場に20人以上、オンライン20か所以上が参加、実行委員長を務める伊東達也弁護士から「外国から日本に来た人で生活が立ち行かなくなるくらい困っている人を、この国の制度はどう扱っているかを勉強していきたいと思います」とのあいさつで始まりました。
基調講演をつくろい東京ファンドや北関東医療相談会で支援をしている大澤優真さんが行いました。「外国人を巡る生活保護の現状と歴史」と題し、コロナ禍で日本に居住する外国人の困窮化が深刻になる中で、生活保護などの社会保障制度の対象とならず、困窮状態から脱することができない外国人の実態を話しました。
また、厚生労働省は外国人に対して生活保護法の適用を認めていませんが、自治体の中には準用措置を行っているところがあることなどを話し、最後に「命・健康と在留資格をひもづけてはいけない」と話し「外国人も日本で暮らす限り命と生活の存続を侵害されない社会にしたい」と締めました。
次に、及川智志弁護士から千葉地方裁判所で闘われている外国人の生活保護裁判についての報告があり、裁判の概要や社会的意義の説明、裁判支援のお願いがありました。
制度を底上げする
運動はたし算
続いて、福祉と司法の千葉県連絡協議会が行った、千葉県内の全市町村に依頼し「生活保護のしおり」を送ってもらい、それを評価した結果の報告がありました。
36の市区町村から「生活保護のしおり」が送られてきて、採点し、結果を自治体に送付、それに対しいくつかの自治体から反響があり、継続的に関わる必要があることが話されました。
報告の後、千葉県生活と健康を守る会連合会の高野秀純事務局長から県内の「生活保護のしおり」について「一度点検したが、県の『生活保護のしおり』が、県内の各自治体のしおりのまねをしていること、生活保護が国民の権利であると明記されていないことが分かった、訂正を要請したところ、少しずつだが改善がみられる」との報告がありました。
船橋生活と健康を守る会の西永守会長は船橋市の例として、「船橋市の保護課とは年2回ほど話し合いをしている。その中で扶養照会はやめるように要求してきた。その結果、船橋市が作成した『生活保護のしおりQ&A』の中で、扶養紹介はするとしつつも、『ただし、親族との間に特別な事情がある場合は申し出てください。申請にかかる調査を行う中で、明らかに扶養が期待できないと判断したときは扶養照会はしません』となった。以前は『DVや虐待など特別な事情がある場合は扶養照会を見合わせることもあるので相談してください』だった。運動は足し算みたいなもので、進めていくことで全体の底上げが行われていくものだと思うので、これからも頑張っていく」と報告しました。
(2022年7月24日号「守る新聞」)