小・中学校の給食費無償化が実現
3年間の地道な市民運動が実を結ぶ
青森市
青森市は7月21日、今年10月から市内の公立小・中学校の給食費を無償化することを表明しました。小・中学校が共に無償化されるのは、全国の中核市では初めてです。市では、青森生活と健康を守る会(青森生健会)をはじめとした市民が3年前から地道に運動を行い、無償化をついに実現させました。青森生健会の成田保事務局長からの報告です。
3年前、高い給食費がどうにかならないかという声が出されました。「小中学校の3人で毎月1万6000円の給食費。食べることだからとはいえ高い。家計を圧迫している。みんなもそう思っているんじゃないか。よし、全国で活動している人を呼び学習しよう。市民の声を聞こう」――そうして学校給食の無料化をめざす青森市民の会(市民の会)が立ち上げられました。会には青森生健会、県教職員組合、新日本婦人の会青森支部、有志個人などが集まりました。
3年間で6449筆
署名活動や議会へ請願
1年目は、群馬県で給食無料化運動を進めている人を呼び無料化の理論を学びました。
続いて、街に出て、みなさんの声を聞く署名活動を始めました。風船を用意し、青森市内の合浦(がっぽ)公園で市民の声を聞きました。「親は弁当を準備するのは当たり前。それをしないでどうする」そんな声も出されました。「無料になればありがたい。子どもに何か買ってあげられる」などさまざまな声を集めました。
PTA連合会にも働きかけました。関連団体には署名活動に協力してもらうよう働きかけてきました。
議会へは無料化の請願に取り組みました。青森市以外の自治体で無料化や負担軽減などが実施されている実態も訴えていきました。
県内の選挙戦では、給食費無料化を公約に入れる首長候補も増えました。当選した首長には話を聞きに行きました。県内全ての議会に足を運び「国に学校給食費無料化を求める意見書」を採択する請願に行きました。
その運動が少しずつ実を結び、無償化や負担軽減に取り組む自治体が県内で増えていきました。国に対し意見書を採択する議会も増えていきました。
今年4月までの3年間で積み重ねた署名は6449筆。給食費の無料化や負担軽減をする自治体が県内の過半数に。無料化を掲げ戦った首長選で当選する人も出てきました。
会員からも喜びの声
「運動すれば実現する」
着々と前へ進めてきた運動が、7月21日に実りました。市議会の5つの会派の要望を受け、青森市長が今年10月からの給食費無償化を盛り込んだ補正予算を提出する方針を表明しました。市は、今年の6月議会でも「保護者負担が必要。実現は難しい」と答弁していました。市民の会の「給食費無償化」の請願に3年間、反対してきた会派もあります。
10月からの半年間は新型コロナ関連の地方創生臨時交付金で、来年度からも財政改善で財源を確保できるめどが立ったというのが市長の説明です。
急転直下、方向が変わりました。市議会議員選挙が10月にあります。それに間に合わせた対応と言わざるを得ませんが、何はともあれ、給食費無償化実現は大いに喜ぶべきことです。要求が実現したのですから。
「運動すれば要求が実現する」――それを肌で感じられました。今まで運動を先駆けて進めてきた人たちの支援や学習理論がなければ続けられませんでした。大いに感謝しながら、全国でも給食費無償化の運動が前進することを願っています。
生健会の会員からも喜びの声が聞こえています。
(2022年10月2日号「守る新聞」)