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全国生活保護裁判連絡会第28回総会・交流会in千葉

徹底して制度改善を求め良くしていこう

 全国生活保護裁判連絡会(生保裁判連)は10月30日、千葉県弁護士会館で第28回総会・交流会を開催しました。会場には地元・千葉県内からの参加者を中心に45人、オンラインで約30人が参加しました。北海道生活と健康を守る会連合会(道生連)の三浦誠一会長や千葉県内の生活と健康を守る会からの発言もあり、生活保護行政などの問題点と千葉県での実態が全国で共有され、各地での運動につながる総会になりました。(永久俊満)

記念講演と報告
実態を共有

 初めに「憲法と生活保護法―基準決定における憲法の理念」と題して東京都立大学の木村草太教授が記念講演を行いました。
 講演の後、特別報告として、生活保護基準引き下げ違憲訴訟での東京地裁勝訴、通院移送費審査請求事件勝利、更生緊急保護中の保護に関する裁判勝訴についての報告がありました。続いて、花園大学の吉永純(あつし)教授が熊本の生活保護廃止取り消し訴訟の勝訴について、竹下義樹弁護士が生保裁判連の取り組みについて基調報告をしました。
 午後は、千葉県の生活保護を考える交流会として、外国人の生きる権利、生活保護と自動車利用、刑務所出所後などの困窮場面での支援、実務で迷う運用の4つのテーマについて報告があり、実態や現状を共有しました。

車保有・使用の問題
生健会からの報告

 生活保護利用者の自動車保有の問題について、初めに、千葉・山武郡生活と健康を守る会の忰山(かせやま)兼重事務局長が報告をしました。
 九十九里町での、バス停まで歩いて40分かかる高齢者や心臓が悪く月3回通院している人など、自動車を保有する生活保護利用者の全てに保有廃止を迫った行政の実態と、生健会をつくり、これまで町や県と交渉した内容、交渉によって保有廃止を迫られなくなった成果などの話がありました。
 続いて、道生連の三浦誠一会長から、札幌市への2022年度の予算要望で、22年1月に市から「保有を認められた自動車の日常生活利用は、自立助長、保有する資産の活用の観点から認められるものと考える」との回答を引き出したが、厚生労働省から「日常生活の利便性のためには認められない」との事務連絡(緊急喚起)が出され、札幌市は回答を撤回したこと、このことに対して国会で議員に追及してもらい、厚労省交渉も行ったことを話し、現状は、車の使用について実施要領に明言がない場合、地方自治法にある処理基準に違反しない範囲で使用できる、と運動をしていると報告しました。
 そして、「生活保護問答集には、生活用品としての自動車は、日常生活の便利に用いられるのみであればだめと書いてある。日常生活の便利だけなら禁止としているので、保有が容認された場合は、目的のついでに使用するのはいいのではないかと考えている」「今後も自動車の保有問題を交渉の課題に乗せたい」と話し、「他の問題と共に生活保護行政を良くするために頑張りたい」と締めました。

出された課題と成果
全国で生かそう

 閉会のあいさつを行った代表委員の尾藤廣喜弁護士は「制度の根幹である基準の問題での裁判勝訴は前例がない。そして、厚労省が制度に責任を持った運用をしていない、自治体ごとに制度運用のばらつきがあるなどの問題に対して、徹底的に改善を求めていかなければいけない」と訴え、「みなさんからいろいろな問題提起をしてもらい、解決策も示してもらった。重層的な課題が今日の議論でまとまってよく分かったと思う。今日の成果を整理して、千葉県でも生かしてもらいたいし、私たちも今日の議論を持って帰って全国で生かしていきたいと思う」と話を締めて総会・交流会は終了しました。

(2022年11月20日号「守る新聞」)

 
   
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