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生活保護基準引き下げをストップ

全生連個人請願など運動が大きな力

 政府は12月23日、来年度政府予算案を閣議決定しました。その中で生活保護基準について、引き下げを前提にしていた基準を「据え置き」、引き下げをストップさせました。全国生活と健康を守る会連合会(全生連)は、生活保護基準引き上げを求める1万人請願に取り組みました。12月20日、厚生労働省に対し請願書を提出し、記者会見を行いました。(永久俊満)

9225人分提出

引き上げに尽力を

 衆議院第1議員会館内で行われた請願書の提出には、全生連や首都圏の生活と健康を守る会から23人が参加しました。
 初めに、厚生労働省に請願運動を始めて約1か月の間に全国から寄せられた9225人分の請願書を提出しました。東京都生活と健康を守る会連合会の角光男さんと加藤道子さんが担当者に請願書を手渡しました。
 全生連の吉田松雄会長から請願の主旨、訴えがあり、「言いたいことは今度の生活保護基準の引き下げには道理がないということ、理由の1つ目は、物価高で基準を据え置くのは、実質大幅な引き下げにつながる。2つ目は、生活保護基準部会に生活保護利用者がいない、利用者の声を直接聞く場がない中で基準が決められている。3つ目は、生活保護費と第1十分位(国民の所得を十で区切った一番下)の人の生活費とを比べていくと際限のない引き下げのスパイラル(悪循環)に陥る。そして、現在このスパイラルに陥っている」と話し、「最大限、当事者の声を反映して、引き上げに尽力してほしい」と話しました。
 その後、生活保護利用者から実態の訴えがありました。
 これに対し厚労省の担当者は「コロナ禍や物価上昇の中で消費実態と経済情勢が変化していることに適切に配慮する必要があるということを留意し、総合的に勘案して予算編成の準備をしている」と回答しました。

値上がりが痛い

当事者が訴える

 請願書提出の後に行われた記者会見では5社が取材しました。
 吉田会長は「生活保護利用者、支援者らが生活保護基準をこれ以上、下げてはいけないという世論を広げてきたことが、引き下げを許さなかったのだと思う。厚労省には福祉の心、社会保障の心を取り戻してもらい、以前行ったような保護利用者の生活を守る施策を行ってもらいたい」と話しました。
 参加した神奈川県と東京都の生活保護利用者からは「節約をしているが夏の電気代が昨年と比べると1・7倍になった」「共同購入などをして食費を節約している」「風呂は3日に一度にするなどで節約している」「少しでも安く買うためにパンや野菜は今日が賞味期限という物を買っている。10円くらい節約できる」「安く買った物を小分けにし、冷凍している」「賞味期限1か月過ぎの食品を当たり前のように食べている」など節約の具体的な話や、「今の生活保護費では生きるか死ぬかのような生活になっている」「光熱費よりも食品の値上がりの方が痛い」など物価高による苦しい生活の実態を記者に訴えました。


基準引き下げ延期について

 政府は、2023年度の生活保護基準について引き下げを前提にしていました。財務省(財政制度等審議会「建議」)や厚労省(生活保護基準部会)の審議会報告を見ると一目瞭然です。予算案では23年・24年は「据え置き」、25年からは引き下げを含め検討するとしました。
 厚労省に引き下げを2年間延期させたことは、運動の貴重な「成果」です。延期の要因は、(1)国の「軍事費2倍化」「社会保障削減」政策の下で、生活保護基準削減を至上命題としたが、物価高騰による保護利用者の困窮を前に、無視できなかったこと、(2)生存権裁判での4地裁勝利判決が厚労省の判断に大きな影響を与えたこと、(3)全生連の行った請願が会員と単位組織、都道府県連のたたかう決意と行動を引き出し、世論を広げる大きな力になったことが挙げられます。

(2023年1月15日号「守る新聞」)

 
   
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