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待望の新しい浴槽につかり爽快

都の負担による浴槽取り替えが実現

東 京

 東京都では、都営住宅入居時に自分で浴室設備を設置した人に対し、設備の取り替え費用を都が負担する事業が始まっています。これは東京都生活と健康を守る会連合会(都生連)や東京都の各生活と健康を守る会が「私の要求」として、毎年東京都に求めていたことが実現した大きな成果です。取り替えの対象住宅に住む佐々木満郎さん(80)からの取り替え工事が完了した経験の感想と、都生連のこれまでの運動を紹介します。

またぎやすさと
自動対応がいい

大田区 佐々木満郎

 2023年1月20日、わが家に待望の最新式タイプの浴槽と給湯器が設置されました。浴槽の高さは60センチ、長さが1メートル20センチのゆったりタイプです。
 真新しい浴槽に足を伸ばし、肩まで湯につかり、自然に鼻歌交じりのひとときになりました。バランス釜時代では味わえなかった爽快感(そうかいかん)です。何といっても温度、湯量などがボタン一つで、自動で対応してくれ、バランス釜時代のわずらわしさから解放されたことがとてもいいですね。
 新しい浴槽設置の経緯は、東京都住宅政策本部が行った「みなさんの費用で設置した浴槽・風呂釜等の取替工事を試行実施します」の呼びかけに申し込んだことです。
 取り替えは自分で設置した浴槽などが故障で使用できず、取り替えが必要と判断され、要件を満たす場合などです。
 主な要件は、(1)住宅使用料の改定に同意をすること(月額500円〜3000円程度の増額。金額は世帯の収入区分で変わります)。(2)自分で設置した浴室設備は自己負担で撤去・処分すること、などです。
 私は新しい浴室の設置業者に撤去処分を頼み、1万6500円かかりました。新しい浴室設備にして良かったことは、またぎやすい高さの浴槽(以前より14センチ低い)になったことです。
 私の住む都営住宅は286世帯中、現在空き室が15世帯あります。このうち浴室設備を個人で設置したり、空き室のリフォームなどの終了後に入居された世帯を除き、私と同時期に浴室設備の取り替え工事に申し込みをしたのは50世帯に及びます。


住まいは人権
実現させた「私の要求」

 都生連が取り組む「私の要求」では、都営住宅のエレベーターやインターホンの設置、階段手すりの取り付け、ドアノブのハンドル式からレバー式への交換、ふろ場の換気扇の設置、風呂釜・浴槽の交換などさまざまな要求が出され、東京都住宅局(現・住宅政策本部)と交渉してきました。
 ドア、階段・廊下の手すり、外壁塗装などなどは、「計画修繕」で補修工事を都で行っていますが、風呂釜・浴槽の交換費用については、URや公社住宅では公費で行っていますが都営住宅は自費でした。
 2019年度の交渉で、都営住宅もURや公社住宅と同じように風呂釜・浴槽の取り換えを公費負担で行うことを要望した際、東京都は「URおよび公社住宅の家賃には修繕費用が含まれているので高く設定している。しかし、都営住宅の家賃にはその費用が含まれていないので低家賃となっている」と回答。これに対し「住まいは人権であり、低所得者の住宅として供給している住宅の設備改善は都の責任である」ことを強く主張し実施を迫りました。
 そして、20年度から要望のある人を抽選で選んで取り替え工事を行うという内容で「試験的に」実施が始まりました。都生連は大きな前進として評価するとともに、全ての住戸を対象に計画的に取り替え工事を行うよう要望しました。その結果、現在は団地の号棟単位を計画的に選んで公費で風呂釜の取り替え工事を行うようになりました。「私の要求」の実現です。
 しかし、都営住宅の畳、ふすま、水道、網戸などの改修、修繕の費用は依然自己負担です。生活していく上で不可欠な設備の保全は公費で保障すべきものです。引き続き公費での実施を要求して運動していきます。
(加藤勝治通信員)

(2023年3月19日号「守る新聞」)

 
   
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