保険証廃止・マイナカード強制やめろ
中央社保協など国会前で緊急反対行動
健康保険証を廃止しマイナンバーカードを強要する「マイナンバー法等改定案」(保険証廃止法案)への反対の運動が広がっています。法案は4月27日、衆議院本会議で自民党、公明党、維新の会、国民民主党などの賛成多数で強行可決されました。立憲民主党と日本共産党は反対しました。政府は連休明けにも参議院での可決・成立を狙っています。(齊藤 豊)
医療受けられぬ危険性
国民皆保険が崩壊
全国生活と健康を守る会連合会(全生連)も加盟する中央社会保障推進協議会(中央社保協)、全国保険医団体連合会(保団連)、マイナンバー制度反対連絡会は4月18日、同日から衆議院特別委員会で審議が始まった保険証廃止法案の撤回を求める国会傍聴と緊急集会を行いました。
行動は、午前10時から正午までの衆院特別委員会を数名の代表者が傍聴し、その間、他の参加者は国会前で座り込み・抗議行動を行い、正午からは傍聴参加者らも加わり、午後1時まで集会を行いました。
午前中の行動では、初めに、マイナンバーカード制度反対連絡会事務局長の原英彦さんが、保険証廃止の撤回を求める署名が40万筆を超えたことを報告。そして、「この問題が、ただ現行の保険証からマイナ保険証に変わるというものではなく、国民皆保険制度の崩壊につながるという点を知らせ、法案の中止・撤回に向け全国で力を合わせよう」とあいさつしました。
続いて、各団体から発言がありました。
保団連事務局の曽根貴子さんは「医療機関は現行の保険証の受診で何も困っていない。マイナ保険証を持ってくる人はほとんどいない。数少ないマイナ保険証を持ってきた人が顔認証ができず、顔認証ができない人は4桁の暗証番号を入れることになるが、高齢者が暗証番号を覚えていない、声に出してしまうなど現場は混乱している」と述べました。
中央社保協事務局長の林信悟さんは「現在は全ての国民が保険証を持っているが、マイナ保険証はそれを申請主義に変えてしまうもので、医療を受けられない人を生み出す危険性がある。マイナカードを取得できない介護が必要な人、寝たきりの人などもいる。情報漏えい・流出を懸念する声も絶えない。カード取得は任意なのに、保険証を廃止して実質強制する。こんな道理のないことはやめさせよう」と訴えました。
与党は「後押し質疑」
廃案に力合わせよう
午後の集会では、日本共産党の宮本徹衆議院議員、立憲民主党の吉田統彦(つねひこ)衆議院議員が連帯あいさつ。保団連会長の住江憲勇さんも「この法案は憲法で保障された基本的人権を破壊するものだ。私たちの暮らしを守るために力を合わせよう」とあいさつしました。
続いて、午前中に特別委員会を傍聴してきた参加者から報告・発言がありました。
全生連事務局長の西野武さんは「今日は与党質疑だったが、(マイナ保険証を)進めていきたい側からのものだったため、私たちが聴きたかったカードの申請、取得が困難な人、利活用ができない人などに対する配慮の詳細を聴くことができなかった」と報告。
東京高齢期運動連絡会事務局長の菅谷正見さんは「今日の質疑内容をまとめると、全てマイナカードを勧める『後押し質疑』だった。政府は個人情報の収集を通じ国民監視を強めようとしている。欧米では規制が始まっているが、日本では一周遅れで普及を進めようとしている。絶対に反対しなければいけない」と述べました。
参加者は午前中の行動、午後の集会を通じ「命を守る保険証を残せ」「国民皆保険制度を守れ」「マイナカードを強制するな」などと何度もシュプレヒコールを上げて訴えました。
(2023年5月14日号「守る新聞」)