一丸となって改悪押し返す
人権侵害の固定資産税減免申請抑制を撤回させる
秋田市
全国各地の生活と健康を守る会で国民健康保険税・料などの減免運動が行われています。秋田生活と健康を守る会では、国保税の減免の他にも固定資産税の減免の運動も行っています。昨年、秋田市が固定資産税減免申請の際に預貯金などの調査の同意書と預貯金残高の写しの提出を求めてきました。この人権を侵害する減免申請抑制の動きと闘い、1年かけて改善を勝ち取った運動を紹介します。
提出は任意
闘いの財産が力に
昨年から秋田市が固定資産税減免申請を抑え込もうとして、突然行った「金融機関に対する預貯金等調査の一括同意書」と「預貯金残高の写し提出」を申請者に求めた減免制度改悪攻撃問題は、秋田生活と健康を守る会のみんなのこの1年の頑張りで、今年度から「同意書は廃止する」「『通帳の残高が分かる写しを添付』の文言は削除する」と秋田市に回答させる大きな前進を勝ち取りました。
改悪を押し返す上で力になったのは、2007(平成19)年に秋田県生活と健康を守る会連合会が、秋田県税務課市町村税政班と国民健康保険税減免について交渉した際に県が回答した文書です。
この交渉では、「申請の添付書類を複雑、過重にすることは申請権の保障に問題が生じないか」など5つの項目で14の質問に回答をもらいました。
このときの回答の要点は、(1)同意書は減免を受ける理由を証明する必要書類ではないこと、提出はあくまでも任意の協力、(2)調査は客観的に必要があるときに個々具体的に行うことができるもので、一律的、機械的に預貯金通帳の調査をすることはできない、(3)納税者本人に通帳提示や写しを求めることができるが、その家族に求めることはできない、(4)減免の要否は納期限前に決定通知しなければならない、遅れる場合は理由を説明し、納期限延長の手続きをする必要がある、です。
あきれた回答
罰則知らしめるため
この闘いの財産がすでにあったことから、22年5月の連休明けに即、役員会で学習ができ、学んだ役員が地域ごとの班会で会員と学習し合いました。そこで、「預貯金残高の写しの提出はあくまでも任意であって、断っても不利益はないこと」が会員にも伝わり、市からの提出要請にも落ち着いて断るなどの対応ができました。
また、これらの調査のために減免決定が2か月も遅れる事態が発生したことから、改善を要請し、人権を脅かす申請様式と調査に時間を費やしていると記者会見で告発。マスコミに取り上げられたこともあり、市は「納期限までに決定するように努める。遅れる場合は申請者に文書で通知する」と回答しました。
他にも、会員の怒りの声や私の実態要求(請願)を市長に提出するなどで抗議し改善を求めたり、情報公開請求で改悪の理由や減免決定の遅れの原因の究明をするなど、これらを組み合わせた1年間の交渉の継続も力になりました。また、交渉の中で、申請書に提出を拒否すると罰則があると載せたことについて問いただすと、「市民に知らしめるため」とその目的を話していました。
今年4月12日にも交渉を行い、17日に秋田市資産税課は改善していくと回答しました。
この1年間、会員と役員会は一体となってこの問題に対する学習を行い、何度も交渉や情報公開請求、市長要請を行い、とうとう人権を守るやり方に戻させました。
会員からは、「『調査拒否は懲役1年か罰金20万円』と脅してきた。苦しんでいる市民の暮らしを市長は分かっているのか」「提出はあくまでもお願いで、断っても不利益はないことを学習していたので、実際に電話で残高の写しを出してと言われたときに、落ち着いて『出しません』と答えることができた。勉強していてよかった。同意書もなくすことができてよかった」などの声が上がっています。
(後藤和夫通信員)
(2023年5月28日号「守る新聞」)