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岡山

教育集会で講演

見えない力を付けること

大阪市立大空小学校初代校長 木村泰子さん

 岡山生活と健康を守る会など18団体で構成する「義務教育完全無償化をめざす岡山市市民会議」は6月6日、3年ぶりに「義務教育完全無償化をめざす教育集会」を市内で開き、各団体などから40人が参加しました。大阪市立大空小学校元校長の木村泰子さんが「主権者教育とは」と題して講演しました。関藤香代子通信員からの報告です。

 教育集会の実行委員会で集会の講演について話し合ったとき、岡山民主商工会から「これだけ生活が大変になっても選挙の投票率が上がらない。特に若い世代の投票率が低い。子ども自身が主権者になっていないので学習したい」との声が上がり、木村さんの話を聞くことになりました。
 2006年に開校した大空小は「不登校ゼロ」を目指し、特別支援教育の対象となる子どももそうでない子どもも、共に学び合う教育体制を敷いてきました。その大空小の初代校長が木村さんです。

子どもが本音話せる

「学校は刑務所」だった

 大空小学校は、就学援助を受けている子どもは50%を超えています。また、不登校の子どもたちを9年間で50人以上受け入れていますが、その子たちは、他校では不登校・発達障害のレッテルを張られた子どもたちです。
 でも、大空小に転校してくると、みんな変わります。「どうして」と子どもに聞くと、「今までの学校とは『空気が違う』。今までは『学校が刑務所』だった」と言います。
 さらに、(1)勝手にしゃべったら叱(しか)られる、(2)いすに座らなかったと叱られる、(3)叱られるので教室から逃げ出す、と言うのです。
 転校してきた子どもは、すぐ殴(なぐ)る、じっとしていられないなどの問題を抱えていましたが、これを障害にされて、心のコントロールのためにと薬を飲まされていました。ここの学校は普通なので安心して学校にいられ、子どもたちは元気で薬を飲む必要がなくなりました。それは、ありのままの子どもたちを受け入れる地域、先生たちがいたからです。
 誰も取り残さない主権者教育は、子どもも大人も先生もみんな平等で一人ひとりが主権者であること、主権者は自分です。そのために見えない力をつけることを大事にします。
 それは、(1)人を大切にする力、(2)自分の考えを持つ力、(3)自分を表現する力、(4)チャレンジする力です。
 木村さんは最後に、「私は、子どもに学ぶ専門家です。絶えず問い直す、未来と自分は変えられると信じています」「今、全国で24万人以上の子どもたちが学校に行っていません。小学校で70人に1人、中学校で20人に1人です。2022年中の自殺が514人。死にたくて死ぬのではなく、自分の居場所がなくて逃げることが自殺につながるのです。一人もそうならないように頑張ってください」と話しました。

とても勉強になった

今までと違う話聞けた

 小学6年生と4年生、幼稚園の子どもを持つ楊井佳美さんは、「とても勉強になりました。自分の子どもと置き換えたときに、そんな風に考えられるかな、と思うこともありました。初めて聞く内容や、今までの考え方や価値観が違う話を聞けたと思います」と感想を語っています。
 岡山市では市民会議の要求で、就学援助のお知らせ・申請用紙を全児童に配布し、郵送で申請ができる、今年からインターネットでも申請ができるように改善させています。就学援助の認定率を15%から増やすことが課題になっています。

(2023年7月2日号「守る新聞」)

 
   
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