介護保険料引き下げの請願が議会で採択

誰もが使いやすい制度へ

滋賀県　犬上生活と健康を守る会

　４０歳以上の誰もが高い保険料を払っていますが、なかなか使うことができない介護保険制度｡6年前に､犬上生活と健康を守る会が中心となって犬上郡豊郷町（とよさとちょう）で「豊郷町の介護保険をよくする会」を結成。介護保険料に納得いかないと、来年の保険料改定に向け「頑張るのは今年」とビラ配布や議会請願をするなど運動している様子を犬上生健会の長谷川さふみ事務局長に報告してもらいました。

高すぎる介護利用料

　豊郷町の高齢者は約２０００人、介護サービス利用者は全国平均と同じ２割弱です。
　介護保険料基準額・５段階までの非課税の人は１２２３人、町民税課税の６段階の人を入れると１５９６人で、高齢者の約８割になります。
　制度開始時に２８１４円だった基準額は、８期目の現在、６４００円と２倍以上に上がっています。
　介護保険会計は最初から黒字ですが、保険料は上がる一方です。
　保険料を払っているから、誰でも希望すればリハビリが受けられ、１人での入浴に不安があれば気軽に入浴サービスを受けられて、健康を維持できたら、保険料を払ってよかったと思えます。
　ところが、豊郷町でも、サービスを受けている人はわずか２割弱です。利用料負担も厳しいものです。今度の改定で低年金でも１割負担から２割負担になる可能性があります。
　現在、サービスを利用して、何とか暮らしている人も利用回数を減らしたり、使わなくなったりして、生活の質が低くなります。新たにサービスを利用することはさらに困難になります。
　豊郷町の介護保険をよくする会は来年の制度改定に向け、「介護保険料を下げ、利用料の補助を」の請願署名運動を行いました。
　制度改悪の予定や豊郷町の状況など、ビラに書いて町内に知らせました。
　午前訪問、夕方訪問など工夫し、町内全域を回り、「高齢者が払った保険料は残っている。介護保険会計では、国・県・市町の拠出分は１年ごとに精算されて、残った分は介護保険準備基金としてため込まれている。政府も次の計画に使うように書いている」などと話すと、ほとんどの人が署名してくれました。

保険料を下げ独自の補助を

　署名した人は「この間、買い物に行ったら卵が高くなっていた。電気代もガス代もみんな上がっている」「介護保険の利用者が２割弱という低さに驚いた。保険料は高すぎる。ぜひ見直してほしい」「介護保険料を払っているのに両親の介護でさらに高い利用料を払った。集めた保険料が残っているなら、せめて、次の保険料は下げるべき」と話していました。
　その結果、６年前は議会へ８７２筆でしたが１３２５筆（有権者数５７６５人）集めることができました。
　６月議会に請願し、６対５で採択されました。反対の議員は「保険だから仕方がない、基金は何かのときのために残しておく」と発言しました。賛成していた保守系議員が、これまで反対していた議員を説得するなどもあり、採択されて本当に安心しました。
　今年も介護保険料決定通知書が６月に届きました。分かっていても、年金から天引きされる金額の高さに怒り、年金振込額にがっかりしました。

介護保険料の審査請求

　 介護保険料は高すぎると思ったら、審査請求しようと声をかけています。
　審査請求の理由に、年金額、引き落としの水光熱費、生活費などでどれだけ赤字かと、「介護保険準備基金は私たちが払った保険料だ。残っているのは保険料設定が高すぎるのでは」と書きました。
　犬上生健会の事務所は、今村恵美子会長が運営する食堂の一部屋で、そこで書き込み会も行っています。
　来年は介護保険料を下げ、町独自の利用料補助制度を作ってほしいと願っています。

(2023年9月24日・10月1日号「守る新聞」)