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生活保護基準引き下げ違憲訴訟

千葉・静岡につづき広島地裁で勝訴

 広島地方裁判所は10月2日、2013年からの生活保護基準の引き下げは違法と判断し、原告51人の生活保護費減額処分の取り消しを言い渡しました。全国29地裁(東京は2件)で提起されている同種訴訟での勝訴判決は、大阪、熊本、東京、横浜、宮崎、青森、和歌山、奈良、さいたま、千葉、静岡地裁に続き12例目です。大阪高裁の逆転敗訴後、3地域で連続し原告勝訴の判決が出たことで、11月30日の名古屋高裁の判決が大きく注視されます。広島県生活と健康を守る会連合会の平野百合子通信員からの報告です。

 広島地裁門前で判決を待っていた支援者たちは、弁護団が掲げた「勝訴」「保護費引下げの違法性認める」の旗が掲げられると、大きな歓声をあげて喜び合いました。

「デフレ調整」
合理的関連性に欠く

 原告の中村絹枝さん(79)は「あ、勝てたんだと思った時、私、こぶしを握りしめていて、かみしめました。とってもうれしく感じました。9年間続いたこの裁判。今日は晴れやかな気分です」と語りました。
 判決で、大浜寿美裁判長は、「物価変動を指標として生活扶助基準の改定を行う場合には、専門技術的な考察に基づいて判断する必要がある。国の判断は、統計などの客観的な数値との合理的な関連性や、専門的知見との整合性を欠いていて、裁量権の範囲を逸脱しており違法」と断じました。

いっしょに喜ぼう
死去した原告と弁護士

 広島弁護士会館で開かれた報告集会には120人が集まりました。弁護団長の津村健太郎弁護士の「私たちは12地裁で勝利している。国に早急な政策の変更を求める」とのコメントに続き、弁護団事務局長の石井誠一郎弁護士は「亡くなった11人の原告、急死した弁護団前事務局長もいっしょに喜んでいると思う」と話しました。
 青木貴央弁護士は「みなさんが、自身の生活ぶりを自分の言葉で訴えたことが、大きな力になりました」と尋問での原告の努力を賞賛しました。

全国からのご支援感謝
広島生活保護裁判を支援する会代表
佐々木 宏さん(広島大学准教授)

 秋晴れの空にくっきりと映える「勝訴」の文字を前に、原告、弁護団ほか広島生活保護裁判を支援する会に関わる者一同、晴れやかな心持ちでおります。判決では、ゆがみ調整の件や原告1人の訴えが却下になったことなど課題は残りましたが、生活保護基準引き下げは不当であるという私たちの要求の核心は認められました。
 全国各地のみなさんからのご支援に感謝申し上げつつ、各地で闘うみなさんに広島からエールを送りたいと思います。この裁判を共に勝ち切りましょう。

人ごとでない
藤原由花さん(30代)

 低賃金長時間労働で体を壊した経験から、私も生活保護を利用するかもしれない、と人ごとではないと思い、行動に参加しました。生存権裁判に9年もかかっていること、原告や弁護団前事務局長が亡くなったことを知り、ショックでした。もっと早く判決が出ていればと思わずにいられません。今生きている人間を大切にする社会になってほしい。そのために行動していけたらと思います。

(2023年10月15日号「守る新聞」)

 
   
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