国は私たちの味方じゃなかった
第36回日本高齢者大会in東京 分科会で交流
第36回日本高齢者大会in東京が11月12日と13日、開かれました。12日に13の学習講座と14の分科会、交流会が、13日は全体会が開かれ記念講演や文化行事などが行われました。東京や広島の生活と健康を守る会の会員も含め、約1500人が参加しました。(笹井敏子通信員、佐藤 愛)
裁判の取り組み訴え
全生連が助言者務める
12日、第9学習講座「いのちのとりで裁判と生存権」は、会場の50席が埋まる参加者を迎えて始まりました。
初めに、全国生活と健康を守る会連合会(全生連)の前田美津恵副会長が「生活保護法」の説明、「国のナショナルミニマム(最低限度の生活基準)」と「憲法第25条(生存権)」の関係を語り、「生活保護基準引き下げの経過と内容」について、配布資料を活用し解説しました。
そして「1万人の審査請求」の取り組みがすべての都道府県で行われ、30か所29地裁(東京は2つ)で提訴したこと、「いのちのとりで裁判」と命名したことを紹介しました。
裁判の争点である「デフレ調整(物価の下落による調整として580億円を削減)」と「ゆがみ調整(低所得層との比較による調整として90億円を削減)」について、さらに3つ目の争点になった「厚生労働大臣の裁量権」とそれぞれの地裁が、争点のどこを違法として勝訴判決を導いたかについても図表を基に示しました。その上で「生活保護の役割と負のスパイラル」「当事者の告発」が今後の裁判の流れを決めるポイントと締めくくりました。
次に、埼玉県生活と健康を守る会連合会の笹井敏子会長は、行政不服審査請求から25人の原告の提訴、8年半で31回に及ぶ裁判期日の取り組みや、司法書士、弁護士を加えた「埼玉連絡会」の結成が長い闘いを支えたこと、さいたま地裁の勝訴判決は「敗訴」に近い厳しい内容であったことを紹介しました。
最後に、生活保護基準引き下げ違憲訴訟の原告で、さいたま市見沼区守る会の濱田道子さんは「勝訴して仲間には感謝されるが、やっぱり国は私たちの味方じゃなかったんだな」と複雑な心境を語りつつも、「絶対諦めないで、自分にできる精いっぱいのことをやる」と決意表明し、会場は拍手に包まれました。
話し合う平和外交を
全体会で記念講演など
全体会は東京都文京区の文京シビックホールで、現地参加とオンライン参加での開催でした。オープニングでは合唱団によるうたごえが響きました。
主催者あいさつで、全日本年金者組合の杉澤隆宣中央執行委員長は、イスラエスのパレスチナへの攻撃の即時停戦を求め、日本政府はイスラエルのガザへの攻撃に抗議すること、ロシアはウクライナから撤退するよう、あらゆる戦争に反対し、そして気候変動から地球を守ろうと訴えました。
元防衛官僚の柳澤協二さんが「非戦の安全保障―戦争しない国であり続けられるために」と題し記念講演を行いました。戦争とは何か、平和とは何か、防げるはずの戦争で若者が命を落さないよう、戦争をどう防ぐのか、を会場で共有しました。
次回開催地は愛知県と発表され、全体会は終了しました。
(2023年11月26日号「守る新聞」)