全国生活と健康を守る会連合会
   
トップページへ 前のページへ
 
 
全生連の紹介
会からのお知らせ
発行物の紹介
暮らしに役立つ制度紹介
各地の生活と健康を守る会
アクセス
 
守る新聞からのおもなニュース紹介 画像

喜び押し寄せ仲間と握手 勝訴13件目

生活保護基準引き下げ違憲訴訟・鹿児島地裁判決

 鹿児島県の生活保護基準引き下げ違憲訴訟の判決が1月15日、鹿児島地方裁判所でありました。同地裁の坂庭正将(さかにわまさゆき)裁判長は原告の訴えを認め、引き下げを取り消す判決を言い渡しました。全国の地裁判決はこれで原告の13勝11敗、一昨年5月の熊本地裁判決以降は12勝3敗と、地裁での原告勝利の流れはもはや明確です。鹿児島県生活と健康を守る会連合会の祝迫加津子会長の報告です。

 裁判長の声がよく聞き取れず、初めは「負けたのかな。やっぱり鹿児島はだめだったのかな」という思いで耳を傾けていました。ところがそんな私の耳に「引き下げを取り消す」という言葉が耳に飛び込んできたのです。「勝った!」――。
 安堵(あんど)と喜びが押し寄せ、弁護士たちが法廷を飛び出したり、仲間が握手をしたり、周りの空気がぱーっと明るくなっていきました。

署名7000筆超
8年間見守り続ける

 鹿児島で生活保護基準引き下げ違憲訴訟を提訴したのは2015年12月24日、「この鹿児島で裁判ができるだろうか。原告になってくれる人がいるのか。お願いできる弁護士が見つかるだろうか」――不安だらけだった頃を思い出します。
 みんなで学習を重ね、「国のやり方はひどい。許せない」との怒りを共有し、32人の原告と22人もの弁護団で裁判を闘うことになった時の喜びと緊張は忘れることができません。会長に鹿児島大学の伊藤周平教授、事務局長に司法書士の柴田淳さんを迎え、「生存権裁判を支援する鹿児島25条の会」を結成できたこともうれしいことでした。
 鹿児島県民主医療機関連合会をはじめ、さまざまな団体が裁判所への「公正な審理を要求する署名」に取り組んでくれ、7000筆を超える署名を提出することもできました。裁判のたびにたくさんの生健会の会員や支援者たちが駆けつけ、8年間、裁判の経緯を見守り続けてきました。
 今回の勝利判決は、まさに原告、弁護団、支援団体が力を合わせて勝ち取ったものです。もちろん全国的な闘いの中で次々と厚生労働省のひどいやり方が断罪され、みんなが「物価偽装」に怒りを感じ、「全国は一つ」の闘いが裁判所を動かす大きな力となったことは間違いありません。

努力実り動かせた
息苦しさを分かって

 判決は、「ゆがみ調整」については「客観的な統計等との合理的整合性や専門的知見との整合性を欠いているとはいえない」としましたが、「デフレ調整」について「厚労大臣の判断は統計等の客観的な数値との合理的な関連性を欠く」としました。
 結論として、厚労大臣による基準引き下げは「判断の過程および手続きに過誤、欠落があり、裁量権の範囲の逸脱または濫用があったと認められ、生活保護法3条、8条2項に違反し違法である」と断罪しました。
 報告集会には、多数のマスコミ、原告、支援者が参加しました。
 弁護団長の増田博弁護士は「合理的で説得力のある判決だ。私たちの8年間の努力が実って裁判所を動かすことができた」と述べ、大きな拍手に包まれました。原告を代表して発言したNさんは「勝つことができて本当にうれしい」と弁護団や支援者に感謝の言葉を伝え、記者会見で「水道光熱費などの節約をいつも考えながら生活しなければならない息苦しさを分かってほしい」と語りました。
 闘いはこれから新しい段階を迎えます。「健康で文化的な最低限度の生活」が名実ともに保障される政治と社会の実現を目指し、全国の仲間と連帯し、鹿児島からも新たな気持ちで挑戦を続けたいと思います。

(2024年1月28日号「守る新聞」)

 
   
  Copyright (C) 2007 全国生活と健康を守る会連合会 All Rights Reserved.