格差社会から福祉充実の政治へ
自民党の政治資金パーティー事件の本質と政治刷新
神戸学院大学法学部教授 上脇博之さん
自由民主党のパーティー券問題で刑事告発を続ける神戸学院大学法学部教授(憲法学)の上脇博之(かみわきひろし)さんに「政治と金」について聞きました。
自民党主要5派閥の各政治団体は政治資金パーティーを開催し、各政治団体が購入した20万円超の収入明細を多数記載していませんでした。この悪質な政治資金規正法違反事件をスクープ報道したのは、日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗日曜版」(2022年11月6日号)でした。事件についてコメントした私は、直後から今年正月にかけ、5派閥の政治団体ごとに歴代の事務総長も含め、関係者を東京地検に順次、刑事告発してきました。2018年〜22年の明細不記載総額は約7000万円です。
裏金プール不記載
幹部の起訴求めさらに告発
この明細不記載事件は、昨年12月1日付「朝日新聞」報道以降、裏金事件になりました。各派閥の政治団体は所属議員にパーティー券販売のノルマを課し、安倍派はパーティー券販売ノルマを超えた分を議員側にキックバックし、収支報告書に記載しない裏金にし、議員が派閥に販売金を渡さず裏金になっているもの(中抜き)もあり、5年間の裏金額はキックバック分で5億円、「中抜き」も含めると6億円とも報道。
二階派の裏金は2億円超、岸田派は3年間で2000万円超と報道。私は各告発状の最後の方で裏金の可能性を指摘しておいたので、それが的中したのです。
東京地検は1月19日裏金事件で3派閥(安倍・二階・岸田)の8人だけを起訴し、派閥の幹部は起訴しませんでした。
私は幹部の起訴を求め、茂木(もてぎ)派280万円、岸田派2501万円の裏金プールの不記載を、二階派1億5837万円余りの裏金プールと3年間で計6533万円のキックバックの不記載を、それぞれ告発。安倍派についても順次告発する予定です。
政党助成金は廃止を
企業献金やパーティーは禁止を
裏金づくりができないよう国会は政治改革しなければなりません。政治資金パーティー収入の透明度を高める案では防止できませんから、全面禁止するしかありません。政治腐敗の温床である企業献金も同じ理由で全面禁止すべきです。
衆院小選挙区選挙と参院選挙区選挙の下では、「政治とカネ」事件が起きても自民党は議員個人の責任にしてきました。無所属も立候補できる完全比例代表制に改革すれば、事件を起こしていない議員も次期選挙で落選するので、自民党も少しは自浄能力を回復するでしょう。政党助成金は「泥棒に追い銭」だったので、当然、廃止すべきです。
以上の抜本的政治改革を断行できれば、財界政治が生み出した格差社会から脱却でき、福祉を充実させる政治への転換も可能になるでしょう。
自民党の脱税許せない
埼玉県富士見市 綾 好文
政府自民党は、戦争のために大軍拡、大増税をやると決めて、零細業者の消費税免税制度を廃止するインボイスやマイナ保険証を国民に押し付けますが、国会議員の裏金には手を出さず脱税を認めるなど許せません。
もし国民がやれば横領・脱税で捕まるのに、与党国会議員ならお構いなしの裏金づくり。裏金にも課税すべきです。3000万円を隠せば捕まるが、それ以下なら見逃すのも納得できません。
賃金が上がらず年金が下げられ、格差と貧困が広がっています。大企業・大金持ちに減税でなく、国民と同じ課税、平等で公平公正な税制を求めます。税金は命と平和を守る、福祉、教育、国民生活優先に使うべきです。
(2024年2月25日号「守る新聞」)