万博やめて能登半島地震の支援を
大阪 カジノに反対する大阪連絡会事務局次長 中山直和
問題山積で反対の声がますます大きくなる大阪・関西万博。「万博は中止を」と運動を行う、カジノに反対する大阪連絡会の中山直和事務局次長に万博を中止すべき理由を聞きました。
未着工のパビリオンも
工事遅延で計画は破たん
「万博は、国民全員が笑うことができるときに」という大阪府の中学生(13歳)の声が1月21日付の朝日新聞で紹介されました。甚大な被害をもたらした1月1日の能登半島地震を受けてのまっとうな声です。
しかし吉村洋文大阪府知事や政府・財界は万博開催に固執、日本国際博覧会協会副会長で関西経済連合会の松本正義会長に至っては「建設会社はけしからん。万博を成功させようというコメントはどこにもない」と発言。建設工事の遅れの焦りからか建築業界に八つ当たりする始末です。
焦りの背景にあるのは万博の華・海外パビリオン建設の遅れです。今年になって着工したのは中国やシンガポールなど5か国のみ、建設業者と契約すら結んでいない国が約20か国もあるのです。
これを取り戻すために、残業規制を「超法規的に」外せというのですが、“違法行為”に手を染めなければ間に合わないという事態は、もはや計画の破たんです。また、開催強行で被災地の復旧・復興工事の足を引っ張ることになり、「万博なんてやっている場合ではない!」の声が上がるのは当然です。
税金は震災の対策に
早く万博中止し、被害最少に
万博を中止すべき理由は他にもあります。
(1)昨年12月26日発表の「万博防災基本計画」に「避難計画」がありません。交通手段が橋とトンネルだけの人工島では「避難計画」は作りようがなく、もし南海トラフ地震が発生すれば10数万人が孤立します。
(2)共同通信の世論調査(昨年11月)では「万博開催が必要」28・3%、「不要」68・6%、日本維新の会の支持者ですら「必要」33・1%、「不要」65・7%というあり様で、地震発生前から万博開催は国民に支持されていません。
(3)夢洲(ゆめしま)での万博は、後のカジノ誘致のためのインフラ整備に巨額の税金を投入するのに好都合だという維新の会の狙いがあります。夢洲万博は、カジノと密接不可分なのです。
万博は今からでも中止できます。その権限は日本政府にあり、中止をBIE(博覧会国際事務局)に申請し、BIE総会の3分の2の賛成によって決定できます。
その際、補償金の支払いが発生しますが、4月12日までなら約349億円、その後1年間なら約836億円が必要です。中止を早く決断することで、被害は最小で済むのです。
万博を中止し、税金の無駄遣いをやめ、震災対策に力を振り向けることが必要です。
(2024年3月3日号「守る新聞」)