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車は生活に欠かせない

生活保護利用者の保有認めさせる

千葉 山武郡生活と健康を守る会

 千葉県九十九里町(くじゅうくりまち)で生活保護を利用し始めた後、夫が1級の障害者でも車の処分を強要された問題で、山武郡生活と健康を守る会が県と交渉を重ね、「不便地の通院利用も認めていく」との回答を勝ち取りました。公共交通機関の利用が著しく困難な場合の通勤や通院などで必要な場合に車利用が認められるのが、正常な運用です。(前田美津恵)

自動車を泣く泣く処分

 問題の発端になったのは70歳のKさんの事例でした。Kさんは仕事をしていましたが病気で治療を受けるようになり、夫は病で1級の障害者になっていました。ケースワーカー(CW)は仕事復帰を望んでいたKさんに、車の保有は認められないと処分を通告し、Kさんは泣く泣く処分してしまいました。

保有の容認へ

 運用の改善で今回保有が認められたのは、山崎繁博さん(79)、光子さん(72)夫妻です。
 繁博さんは元鉄筋工で、光子さんの年金とパート収入で生活していました。光子さんが仕事中に倒れ、ふらふらする状態が残り働けなくなり、生活保護を利用。しかし、利用し始めた途端にCWから車に乗るなと毎月言われました。
 繁博さんは「足が悪く歩けないときがあり買い物も車が必要。この地域で車がないことは『外に出るな』を意味する。車がなかったら生活できない」と。
 光子さんは「車で病院に行けることはいろいろなことに関わる。車の件が落ち着きやっと安心した。車は心の安定」と話します。

実施要領通りにと回答

 山武郡生健会は昨年の12月14日、千葉県山武健康福祉センター生活保護課と5人で交渉しました。生健会から「車保有の条件がありながら処分させた対応は間違っていたのではないか」との質問に、保護課は「今の体制で解釈するならば、だいぶ違った。無理して公共交通機関を使うようにとは言わない」と回答しました。
 参加者からの「基準があいまいで担当によって対応が違う。今は車を認めていると判断していいのか」との質問に、「当時より柔軟に考えるようになった。基準については生活保護手帳(実施要領)に書かれてあることが全てだが、今までその解釈が厳しかったのではないかと。地域性を考慮した上で少し幅を持たせていいのではないかと対応している。個人としてではなく組織として解釈している」と回答しました。
 山武郡生健会の忰山(かせやま)兼重事務局長は、「車を持っていることで生活保護申請をあきらめる人や、交通不便地域で車が必要な人もたくさんいると思う。交通不便地域で保有が認められたことは大きな前進だ」と語っています。

(2024年3月17日号「守る新聞」)

 
   
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