これでみんなが安心
補聴器助成の所得制限撤廃へ
東京 品川
各自治体の3月議会で2024年度予算が決まってきています。東京・品川生活と健康を守る会が取り組んできた「難聴者の補聴器購入に所得制限なしで助成を」との要求も実現しました。
延べ9回の請願・陳情
品川区では、昨年7月から加齢により中等度難聴(両耳が40〜70デシベル)と診断された65歳以上の住民税非課税世帯を対象に、補聴器購入費用のうち3万5000円を上限に助成する制度が実施されました。難聴で意思疎通がしづらくなると、認知症のリスクが高まるとされており、難聴の早期発見と補聴器の活用に向けての取り組みは重要です。
品川生活と健康を守る会は2019年11月、品川区議会に「難聴高齢者の補聴器購入費助成制度の実施」を求める請願を提出。日本共産党以外の反対で不採択になりましたが、これをきっかけに、品川守る会、年金者組合品川支部や労働組合、民主商工会、新日本婦人の会など9団体で、延べ9回にわたり請願・陳情を提出し、実施を求めてきました。
議会では、区の当局者も共産党以外の区議会議員も実施に後ろ向きで、請願・陳情は毎回、不採択となりました。しかし、こうした運動が区を動かし、昨年7月についに実現しました。
10か月後に対象拡大
実施されたものの、助成額は1人3万5000円、しかも助成対象は非課税世帯のみと限られていたため、その後も9団体で「助成対象を課税世帯にも広げること」「助成額を港区並み(住民税非課税13万7000円、課税は半額6万8500円)に増額すること」を求める陳情を議会ごとに提出。
守る会は品川区長宛ての24年度予算要求でも、助成額の増額と対象拡大を求めました。そんな中、品川区は24年度予算で、所得制限を取り払い、住民税課税世帯も助成を受けられるように改善しました。昨年7月実施からわずか10か月足らずで、実現できたのです。
鵜野一枝事務局長は「多くの人が、なぜ対象が住民税非課税の人ばかりなのかと思っていた。所得制限撤廃で、補聴器を購入しやすくなり本当によかった」と話すと同時に、「助成金額などまだ改善が必要。今後も改善実現に向けて請願・陳情を行っていく」と話しています。
また、東京都では2024年度から新規に、補聴器購入費補助事業を実施する自治体に「高齢者聞こえのコミュケーション支援事業」を実施する予算が可決・成立しました。(児玉康彦さん)
(2024年4月7日号「守る新聞」)