違法・不当な保護行政が浮き彫りに
桐生市生活保護違法事件全国調査団が要請・市民集会
全国生活と健康を守る会連合会(全生連)などの市民団体、支援団体、弁護士、研究者らが今年2月に発足させた「桐生市生活保護違法事件全国調査団」(全国調査団)は4月4、5日、昨年11月に報道された「生活保護利用者に1日1000円しか支給しない」などの群馬県桐生市の生活保護行政(本紙2月11日号で一部既報)について、市や県などへの要請、市内で市民集会などを行いました。(齊藤 豊、永久俊満)
4グループで要請行動
全国調査団は4月4日、桐生市生活保護違法事件について翌5日に行う行動の打ち合わせ会議を行いました。
井上英夫団長(金沢大学名誉教授)のあいさつ、全生連の吉田松雄会長の経過報告、支援団体などから事件の概要などの説明、全国調査団が桐生市に提出した質問状の回答の分析などの後、5日の行動グループごとに打ち合わせを行いました。
翌5日、全国調査団は、午前中に(1)群馬県庁へ要請、(2)桐生市福祉課、第三者委員会へ要請、(3)桐生市が委託(いたく)する金銭管理団体への要請、(4)フードバンク・生活相談、の4つのグループに分かれ行動しました(2面に記事)。
午後には、桐生市市民文化会館で「誰もが人間らしく生きるために」と題し、桐生市の生活保護をよくする市民集会・シンポジウムを開催。報道関係者を含め市内外から約200人が参加しました。
集会では、井上団長のあいさつに続き、午前中に行われた全国調査団の(1)〜(4)の行動の報告が行われました。
事件の要因は“組織的”
続いて、今回の事件の当事者Aさんの音声データが流され、生活保護申請時の支援者の同行拒否、威圧的な対応で申請不受理、保護開始後も市に勝手に保護費1日1000円の分割窓口支給とされ、ハローワークに行った証明がないと保護費を支給しないとされたことなど、違法な行政の対応が語られました。
尾藤廣喜(ひろき)弁護士と花園大学の吉永純(あつし)教授は、以前に全国で起きた同類の事件を説明。今後必要なこととして(1)実態・問題点を究明し違法・不当性の明確化、(2)第三者委員会の重要性、県や国への働きかけ、(3)改善策の提案とその実施の監視―などを挙げました。
反貧困ネットワークぐんまの町田茂事務局長は、桐生事件の背景・要因に、2005年の市の行財政改革方針に「自己責任、自己負担の大原則」「扶助費などを中心に削減」と書かれていることを挙げ、事件は保護係長などの思いつきで発生したのではなく、市の目標として組織的に行われてきたと指摘。また、保護課に警察OBを4人も配置していることなどで市民を恫喝(どうかつ)し、保護申請数を抑制する「水際作戦」、違法・不適切な対応で保護辞退に追いやる「硫黄島作戦」などが横行していることを批判しました。
(2024年4月21日号「守る新聞」)