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共同親権法案では守れない

廃案こそが子どもやひとり親を守る方法

名古屋南部法律事務所 弁護士 岡村晴美

 離婚した父母が子どもの親権を共同で持つことができるようにする「共同親権法案」が衆議院で可決され、参議院での審理に入っています。離婚時の親権争いをなくすという名目ですが、それ以上に生活方針の意思決定がスムーズにできなくなるなどの子どもへの不利益などが生じる恐れが多くあります。この共同親権制度の問題について、名古屋南部法律事務所の岡村晴美弁護士に聞きました。

子どもに会えないは別

 共同親権制度の導入が国会で審議されています。
 巷(ちまた)では、「単独親権制度のせいで子どもに会えない」という言説が広まっていますが、当事者間で協議ができない場合には、子どもの最善の利益にかなうよう裁判所が審判で命じることができ(民法766条)、子どもに会えるか会えないかという問題は、親権制度の定め方に原因があるものではありません。
 現行法では、離婚後の同居親が子どもについての決定を行う場合、単独でもできるし、別居親と一緒に決めることもできます。しかし、この共同親権制度が導入され、共同親権が適用されれば、単独での行使は、例外事由に当たらない限り許されなくなります。
 共同決定の合意すらできない父母に、子どもに関する決定を共同で行うことを裁判所が強制すること(非合意強制型共同親権)が、子どもにとって望ましいことでしょうか。

知らぬ間の成立企てる

 国会での審議によれば、髪の毛を染めるのは日常に関する事項として例外となるが、中学生が金髪に染める場合は進学に差し障る可能性があるので別居親の許可が要るとされ、引っ越しは、子どもに対する影響が大きいとして、同じ学区内に引っ越すにも許可がいるそうです。許可なく行えば、のちに損害賠償請求をされかねません。ひとり親にとって、過酷すぎませんか。
 今国会で、共同親権制度の導入が、なぜこんなに速いスピードで進むのか。共同養育支援議連会長の柴山昌彦議員(自民党)は昨年10月、「埼玉県条例案の炎上からの撤回を見て、最短の現実解は法務省たたき台を改良し、一刻も早く成立させることと確信した」(原文ママ)とSNSで発信しています。つまり「みんなに知られないうちに通してまえ」ということです。

みんなの力で廃案へ

 共同親権制度の反対の声はなぜ大きく扱われないのか、それは導入を心配する当事者の多くが、DV(家庭内暴力)被害者や子育て中のひとり親で、声をあげにくいという現状があります。
 衆議院を通ってしまい、ここからの廃案なんてと笑う人もいるかもしれませんが、法律で、DVと虐待の被害者を守りたいです。
 廃案に向けてみなさんの力を貸してください。

(2024年5月12日号「守る新聞」)

 
   
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