「人権としての社会保障」実現へ
憲法25条共同実行委員会が春の25条集会を開催
全国生活と健康を守る会連合会も参加する「憲法25条を守り、活かそう!共同実行委員会」は5月16日、東京の衆議院第1議員会館で「春の25条集会―防衛費の拡大より社会保障の拡充こそ」を開催。オンライン含め300人以上が参加し、憲法25条に基づく人権としての社会保障を目指し声を広げようと意思統一しました。(齊藤 豊)
「怒り」を社会全体に
集会は初めに、医師でNPO法人医療制度研究会理事長の本田宏さんの司会・開会あいさつの後、日本共産党の宮本徹(とおる)衆議院議員と立憲民主党の阿部知子衆議院議員が連帯のあいさつを行いました。
続いて、いのちのとりで裁判全国アクション共同代表で大阪市立大学名誉教授の木下秀雄さんが「人権としての社会保障実現に向けて」と題した記念講演を行いました。
木下さんは講演で、初めに現在闘われているいのちのとりで裁判(生活保護基準引き下げ違憲訴訟)の争点、「引き下げ」の背景や経過などを説明し、自民党が2012年の総選挙で「保護基準10%引き下げ」を公約にし、“生活保護バッシング”をあおりながら政権を奪還した後、結論ありきの政治的思惑で「物価偽装・統計偽装」を行い保護基準を引き下げたことを批判。生活保護基準はさまざまな制度に連動しており、保護利用者だけに重要なものではなく国民生活全体に影響するとして、基準引き下げに対し「まず、怒りを持とう」と話し、その怒りを社会全体に広げ、世論を盛り上げることが大事だと述べました。
また、生活保護への“忌避(きひ)感”などを払拭(ふっしょく)すべく制度を利用しやすいものとし、「人を人として尊重する」思想を日本社会に定着させること(闘い)の重要性を説きました。
物価高で大変苦しい
その後、生活保護、年金、障害者、非正規労働、保育、介護の分野の当事者から実態告発の発言がありました。
東京都生活と健康を守る会連合会常任理事で「新生存権裁判東京」原告副団長の木村良太さんは「生活保護基準引き下げ以降、特に最近の異常な物価高で生活は大変苦しい。原告には高齢者が多く亡くなる人もいる。政府には早急な保護基準引き上げ、政治決着を求める」と述べました。最後に、集会アピールと行動提起があり、閉会しました。
集会後、会場参加者は「国の責任で社会保障推進を」求める議員要請を行いました。
(2024年6月2日号「守る新聞」)