生活保護基準引き下げ違憲訴訟 全国17件目の勝訴に歓喜の声
「新生存権裁判東京」東京地裁判決
国が2013年から15年に生活保護基準を引き下げたことは違憲・違法だとして、東京都内の生活保護利用者48人が国などを相手に引き下げ処分取り消しを求めた訴訟の判決が6月13日、東京地方裁判所であり、同地裁の篠田賢治裁判長は基準引き下げを違法と判断し、処分を取り消しました。地裁での原告勝訴は全国17件目です。(齊藤 豊、2面に声明)
判決当日の開廷前には原告、弁護団、支援者など約150人が東京地裁前に集まりました。入廷・傍聴に入りきれなかった支援者らが門前で見守る中、判決の速報を伝える報告者が裁判所から出てきて「勝訴」「保護費引下げの違法性認める」と書かれた垂れ幕を掲げると同時に、「よし」「やった」「勝った」などの歓声と拍手が沸き起こりました。
間もなく、入廷していた原告や支援者なども出てきて、地裁前では拍手や握手などをしながら勝訴を喜ぶ光景が広がりました。
今後の利用者のためにも
その後、衆議院第2議員会館で報告集会が開かれました。
原告団副団長で中野生活と健康を守る会の木村良太さん(43)は「支援者のみなさんの力で勝つことができた。判決を聞き、興奮もあり初めはよく分からなかったが、次第に中身が分かった。人情派の裁判長だと思った」と述べました。
弁護団団長の宇都宮健児弁護士のあいさつの後、原告団団長の八木明(めい)さん(98)が「長い間、頑張ってきたかいがあった。思わず裁判官に『ありがとう』と言ったが、私たちの闘いや勝訴は当たり前のことで、そんなことを言わないといけないのもおかしい。今後、生活保護を利用する人たちのためにも、高裁でも勝利し法律を変えていきたい」と語りました。
判決後に異例の発言
弁護団から判決内容の報告があり、判決は争点のうちの「ゆがみ調整」は認めず「デフレ調整」を違法と認めた“堅実な判決”だったこと、また、判決言い渡し後に裁判長から裁判を通して「貧困問題を解決し未来に希望を持つため、社会全体が下向きではなく上向きのベクトル(方向性)を持ってほしい。行政・民間の人々の活躍に期待する」と異例の感想発言があったことが報告されました。
(2024年6月30日号「守る新聞」)